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シュテファン-ボルツマン定数の導出は?プランク分布からの計算も!

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物理学を深く学ぶうえで、公式や定数の値を「覚える」だけでなく、「なぜその値になるのか」を理解することは非常に重要です。

シュテファン-ボルツマン定数σの値が5.67×10⁻⁸という理由を、プランク分布の積分計算から理解しようという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、シュテファン-ボルツマン定数の導出・プランク分布からの積分計算・量子統計・ウィーンの変位則・レイリー・ジーンズ則との関係まで、詳しく解説していきます。

シュテファン-ボルツマン定数の導出の基本とは?

それではまず、シュテファン-ボルツマン定数の導出の基本的な考え方と、押さえるべき結論から解説していきます。

シュテファン-ボルツマン定数σの導出の核心は、「プランクの放射則を全波長(または全振動数)にわたって積分し、その結果をT⁴の係数として抽出する」という計算です。

導出の結論:σ = 2π⁵kB⁴/(15h³c²) = 5.670374×10⁻⁸ W/(m²·K⁴)。この式は、プランク定数h・ボルツマン定数kB・光速cという3つの基本定数から完全に決定されます。導出の鍵となる積分は∫₀^∞ x³/(eˣ-1)dx = π⁴/15というリーマンゼータ関数に関連した積分です。

この導出を理解することで、古典物理学(レイリー・ジーンズ則)の失敗と、プランクの量子仮説がどのように黒体放射問題を解決したかも同時に理解できるようになります。

プランクの放射則(プランク分布)の式

続いては、導出の出発点となるプランクの放射則を確認していきます。

プランクの放射則の式(波長表示)

黒体の単位面積・単位立体角・単位波長あたりの放射輝度(スペクトル放射輝度)は以下で与えられます。

プランクの放射則(波長表示):

B(λ,T) = (2hc²/λ⁵) × 1/(exp(hc/λkBT)-1)

h:プランク定数(6.626×10⁻³⁴ J·s)

c:光速(3.00×10⁸ m/s)

kB:ボルツマン定数(1.38×10⁻²³ J/K)

λ:波長(m)

プランクの量子仮説の意義

プランクは1900年に、「電磁波のエネルギーは連続的な値をとるのではなく、hν(hはプランク定数、νは振動数)の整数倍の量子化されたエネルギーのみをとれる」という量子仮説を導入しました。

この仮説がなければ(古典物理学では)高振動数(短波長)域での放射強度が無限大になる「紫外破局(Ultraviolet Catastrophe)」という矛盾が生じ、レイリー・ジーンズ則は短波長側で完全に破綻します。

全放射強度の積分計算

続いては、プランクの放射則から全放射強度を積分する計算を確認していきます。

積分変数の置換

積分計算の手順:

全放射強度:J = π∫₀^∞ B(λ,T) dλ(半球への放射量)

置換:x = hc/(λkBT) → λ = hc/(xkBT)、dλ = -hc/(x²kBT) dx

代入後:

J = (2π⁵kB⁴T⁴/h³c²) × (1/π⁴) × ∫₀^∞ x³/(eˣ-1)dx × π

(詳細な係数整理が必要)

鍵となる積分:∫₀^∞ x³/(eˣ-1)dx = π⁴/15

導出の核心となる積分は∫₀^∞ x³/(eˣ-1)dxの値です。

この積分はリーマンゼータ関数と密接に関連しており、ζ(4) = π⁴/90 という値を使うと、∫₀^∞ x³/(eˣ-1)dx = 3!ζ(4) = 6 × π⁴/90 = π⁴/15 と求まります。

この値π⁴/15が最終的な式に登場する「15」という数字の由来です。

ウィーンの変位則とレイリー・ジーンズ則との関係

続いては、シュテファン-ボルツマンの導出と密接に関連するウィーンの変位則とレイリー・ジーンズ則を確認していきます。

ウィーンの変位則

プランク分布のピーク波長λmaxは、ウィーンの変位則 λmax × T = b(b=2.898×10⁻³ m·K:ウィーンの変位定数)に従います。

温度が高いほどピーク波長が短波長(青色・紫外線)側にシフトするという性質を表しており、恒星の色と表面温度の関係などに応用されます。

レイリー・ジーンズ則の限界

古典統計力学に基づくレイリー・ジーンズ則 B(λ,T) = 2ckBT/λ⁴は、長波長(低振動数)域ではプランク分布と一致しますが、短波長域で無限大に発散(紫外破局)します。

プランク分布は、レイリー・ジーンズ則の長波長での正確さとウィーンの短波長での正確さの両方を統一的に記述し、すべての波長域で実験と一致します。

まとめ

この記事では、シュテファン-ボルツマン定数の導出(プランク分布の全波長積分)・積分計算の手順・鍵となる積分(∫x³/(eˣ-1)dx=π⁴/15)・ウィーンの変位則・レイリー・ジーンズ則との関係について詳しく解説しました。

導出の核心は「プランク分布をx=hc/λkBTと置換して全波長積分し、∫₀^∞x³/(eˣ-1)dx=π⁴/15という積分結果からσ=2π⁵kB⁴/(15h³c²)が導かれる」というプロセスにあります。

ぜひこの記事でシュテファン-ボルツマン定数の導出の流れを理解し、量子統計・熱放射の物理学の深い理解につなげてください。