tanは三角関数の一つであり、角度と辺の比を結び付ける重要な役割を持ちます。
sinやcosと比べて苦手意識を持たれやすい一方、基本の意味と公式のつながりを押さえれば、図形問題や方程式でも使いやすくなるでしょう。
この記事ではtanの定義、加法定理、倍角の公式、sin・cosとの関係、効率的な覚え方までを順に解説します。
tanの公式と基本的な意味

それではまずtanの公式と基本的な意味について解説していきます。
直角三角形におけるtanの定義
直角三角形で角θに注目したとき、tanθは向かい側の辺をとなり側の辺で割った値です。
斜辺は使わず、角θに対する二つの辺だけで決まる点がsinやcosとの大きな違いです。
tanθ=対辺÷隣辺
たとえば対辺が3、隣辺が4なら、tanθ=3÷4=3/4となります。
高さと横方向の距離の比として考えると、tanの意味をイメージしやすくなります。
坂道の急さ、建物を見上げる角度、座標平面上の傾きなど、縦と横の関係を扱う場面で登場します。
sinとcosから求める関係式
tanは単独で覚えるだけでなく、sinとcosを使って表せることが重要です。
tanθ=sinθ/cosθ
sinθ=対辺/斜辺、cosθ=隣辺/斜辺なので、sinθをcosθで割ると斜辺が約分されます。
この式は公式の導出や複雑な式変形で何度も使います。
ただしcosθが0になる角度では割り算ができないため、tanθは定義されません。
具体的には90度、270度などではtanの値を書けないことを確認しておきましょう。
代表角の値と符号
0度、30度、45度、60度のtanの値は、計算問題の土台になります。
| 角度 | tanの値 | 覚える視点 |
|---|---|---|
| 0度 | 0 | 対辺がない状態 |
| 30度 | 1/√3 | 60度の逆数 |
| 45度 | 1 | 二辺が等しい状態 |
| 60度 | √3 | 30度の逆数 |
45度ではtan45度=1となり、縦と横の長さが同じであることを示します。
また、第1象限と第3象限ではtanは正、第2象限と第4象限では負です。
単位円の座標やsinとcosの符号を考えると、機械的な暗記に頼らず判断できます。
tanは対辺と隣辺の比であり、sinθ/cosθとも表せます。
まずは代表角の値と、cosθが0のときに定義されない点を確実に押さえることが基本です。
tanの加法定理と減法定理
続いてはtanの加法定理と減法定理を確認していきます。
加法定理の形と分母の注意点
二つの角を足したときのtanは、次の公式で求められます。
tan(α+β)=(tanα+tanβ)/(1-tanαtanβ)
分子はtanの和ですが、分母は1からtanαtanβを引く形です。
分母の符号を間違えると答え全体が変わるため、加法定理では特に注意したい部分でしょう。
なお、分母が0となる場合は結果のtanが定義されません。
減法定理の形と符号の整理
二つの角の差を扱う減法定理は、以下のようになります。
tan(α-β)=(tanα-tanβ)/(1+tanαtanβ)
加法定理と見比べると、分子と分母の符号が反対側に変わる構造です。
覚える際には、足し算なら分母は引き算、引き算なら分母は足し算という対応を意識すると整理しやすくなります。
角の中の符号と分母の符号が逆になると捉える方法も有効です。
加法定理を使う計算例
たとえばtan75度は、75度を45度と30度の和に分けることで求められます。
tan75度=tan(45度+30度)として、tan45度=1、tan30度=1/√3を代入します。
計算を整理すると、tan75度=2+√3となります。
75度のように表に載っていない角度でも、代表角の和や差に分解すれば値を出せる点が加法定理の強みです。
| 求めたい角 | 分解例 | 使う公式 |
|---|---|---|
| 15度 | 45度-30度 | 減法定理 |
| 75度 | 45度+30度 | 加法定理 |
| 105度 | 60度+45度 | 加法定理 |
| 165度 | 180度-15度 | 符号と周期の利用 |
加法定理と減法定理は、見慣れない角度を代表角へ分解するための公式です。
分母の符号を確認し、途中で約分や有理化を急がないことが計算ミスの予防につながります。
tanの倍角公式と半角への応用
続いてはtanの倍角公式と半角への応用を確認していきます。
倍角公式の基本形
同じ角を二つ足すとき、加法定理にα=βを入れると倍角公式になります。
tan2θ=2tanθ/(1-tan²θ)
分子が2tanθ、分母が1-tan²θとなる形をセットで覚えましょう。
tanの倍角公式は分母に二乗が入るため、加法定理の単純な写しではない点に注意が必要です。
sinとcosの倍角公式との関係
tanの倍角公式は、sin2θ=2sinθcosθとcos2θ=cos²θ-sin²θを割っても導けます。
tan2θ=sin2θ/cos2θに置き換え、分子と分母をcos²θで割ると、tanθだけの式に変形できます。
この流れを理解すると、公式を忘れた場合でもsinとcosから再構成しやすくなります。
三角関数の公式は別々に暗記するより、tan=sin/cosという関係を中心に結び付けるほうが記憶に残りやすいでしょう。
半角を求める考え方
tanの半角に関する問題では、倍角公式を逆向きに利用します。
たとえばtan2θの値が分かっているとき、tanθをtと置けば、2t/(1-t²)という方程式ができます。
ただし、方程式の解が複数出る場合には、θがどの範囲にあるかを必ず確認してください。
tanの正負は象限によって変わるため、数値だけで解を一つに決めるのは危険です。
| 確認する項目 | 理由 |
|---|---|
| θの範囲 | tanの符号と解の候補を判断するため |
| cosθが0かどうか | tanが定義されるかを確かめるため |
| 倍角の範囲 | 2θがどの象限に入るか確認するため |
| 元の式への代入 | 余分な解を除くため |
tanとsin・cosの関係
続いてはtanとsin・cosの関係を確認していきます。
三角比の相互関係
tanθ=sinθ/cosθに加え、sin²θ+cos²θ=1という関係も頻出です。
この二つを組み合わせると、tanだけが与えられた状態からsinやcosを求めることもできます。
たとえばtanθ=3/4なら、直角三角形の辺の比を3対4対5と考え、sinθ=3/5、cosθ=4/5と求められます。
ただしθの範囲が第2象限や第4象限なら、sinまたはcosの符号が変わります。
基本恒等式への変形
sin²θ+cos²θ=1の両辺をcos²θで割ると、tanに関する重要な式が得られます。
tan²θ+1=1/cos²θ
右辺はcosの二乗の逆数であり、sec²θと表すこともあります。
高校数学ではtan²θ+1の形が現れたら、1/cos²θへ変形できることを思い出すとよいでしょう。
逆に、cos²θをtanで表したい場合にも役立ちます。
グラフと周期の特徴
tanのグラフは、x=90度や270度に相当する位置で途切れます。
これはcosθが0となり、tanθ=sinθ/cosθが定義できないためです。
またtanは180度ごとに同じ値を繰り返します。
tan(θ+180度)=tanθ
sinとcosは360度ごとに繰り返しますが、tanの周期は180度です。
tanの周期は180度という性質は、方程式やグラフ問題で特に重要です。
tanはsinとcosの商であり、sin²θ+cos²θ=1と組み合わせて多くの式を変形できます。
値の計算だけでなく、符号、定義域、180度周期までまとめて理解することが大切です。
tanの公式の覚え方と問題演習
続いてはtanの公式の覚え方と問題演習を確認していきます。
公式を意味から覚える方法
公式を文字列として丸暗記すると、加法定理や倍角公式で符号を取り違えやすくなります。
まずtanθ=sinθ/cosθを起点に置き、sinとcosの加法定理からtanの公式が生まれる流れを理解してください。
理解したうえで反復すれば、分母の形にも理由があると感じられるでしょう。
公式の暗記と導出の理解を両立させることが、長期的には最も効率的です。
覚える順番の整理
学習の順番を決めておくと、公式が増えても混乱しにくくなります。
| 順番 | 覚える内容 | 学ぶ目的 |
|---|---|---|
| 一つ目 | tanθ=対辺/隣辺 | 基本の意味をつかむ |
| 二つ目 | tanθ=sinθ/cosθ | 三角関数を結び付ける |
| 三つ目 | 代表角の値 | 数値計算の基礎を作る |
| 四つ目 | 加法定理と減法定理 | 角の和と差を扱う |
| 五つ目 | 倍角公式と周期 | 応用問題へ広げる |
一度に全公式を覚えようとせず、前の段階とのつながりを確認しながら進めることが近道です。
よくある間違いと見直し
tanの問題では、符号、分母、定義されない角度の三点で誤りが起こりやすい傾向があります。
加法定理で分母を1+tanαtanβとしてしまう誤りや、90度でtanの値を無理に書く誤りには注意しましょう。
また、tanθが正でもsinθとcosθがどちらも正とは限りません。
第3象限ではsinとcosがともに負であり、その商であるtanは正になります。
tanの正負だけでは象限を一つに決められないことも大切な確認事項です。
計算後には、角度の範囲、符号、分母が0でないことを見直す習慣を付けてください。
まとめ
tanは直角三角形では対辺を隣辺で割った値であり、sinθ/cosθとしても表せます。
加法定理はtan(α+β)=(tanα+tanβ)/(1-tanαtanβ)、減法定理はtan(α-β)=(tanα-tanβ)/(1+tanαtanβ)です。
倍角公式はtan2θ=2tanθ/(1-tan²θ)であり、加法定理から導けます。
sin・cosとの関係、象限ごとの符号、cosθが0となる角度では定義されない点まで合わせて理解すると、計算問題への対応力が高まります。
代表角の値を基礎にしながら、角の和や差への分解、公式の導出、見直しの手順を繰り返していけば、tanの公式を確かな武器として使えるようになるでしょう。