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TCPの通信とは?仕組みをわかりやすく解説!(コネクション確立:3ウェイハンドシェイク:データ転送:切断:ストリーム:順序保証など)

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インターネットでWebページを見たり、メールを送受信したりする際、背後では確実にデータを届けるための通信プロトコルが動作しています。その中心的な役割を果たしているのがTCP(Transmission Control Protocol)です。

TCPは、データを確実かつ順序正しく相手に届けるための仕組みを提供します。私たちが日常的に利用しているインターネットサービスの多くは、このTCP通信によって支えられているでしょう。一見複雑に見える通信の流れも、基本的な原理を理解すれば、その巧妙な設計の素晴らしさが見えてきます。

本記事では、TCPの通信がどのように行われるのか、コネクションの確立から切断まで、3ウェイハンドシェイクやデータ転送の仕組み、ストリーム通信の特徴、順序保証のメカニズムまで、わかりやすく解説していきます。

TCP通信とは何か?基本的な特徴と役割

それではまず、TCP通信の基本的な概念について解説していきます。

TCP通信の定義と位置づけ

TCP通信とは、インターネット上で信頼性の高いデータ送受信を実現するための通信方式です。TCP/IPプロトコルスタックにおけるトランスポート層で動作し、アプリケーション層とネットワーク層の間に位置します。

TCPの最大の特徴はコネクション型通信である点でしょう。通信を開始する前に送信側と受信側の間で仮想的な通信路(コネクション)を確立し、その後データのやり取りを行います。この仕組みにより、データが確実に届いたかどうかを確認しながら通信できるのです。

また、TCPは双方向通信をサポートしており、一度コネクションを確立すれば、両方向に同時にデータを送受信できる全二重通信が可能になります。

TCP通信は、信頼性が求められるWebブラウジング、メール送受信、ファイル転送など、インターネットの基幹的なサービスで広く使われています。

UDPとの違い

TCPと対比されることが多いプロトコルにUDP(User Datagram Protocol)があります。両者は同じトランスポート層のプロトコルですが、設計思想が大きく異なるでしょう。

UDPはコネクションレス型の通信方式で、事前のコネクション確立なしにデータを送信します。確認応答や再送制御もないため、TCPと比べてオーバーヘッドが小さく、低遅延での通信が可能です。

一方、TCPは確認応答、順序制御、再送制御などの機能を備えており、データの信頼性を保証します。リアルタイム性よりも正確性が重要な用途ではTCPが選ばれる傾向にあるのです。

特徴 TCP UDP
通信方式 コネクション型 コネクションレス型
信頼性 高い(確認応答・再送あり) 低い(確認応答・再送なし)
順序保証 あり なし
速度 やや遅い 速い
主な用途 Webブラウジング、メール、ファイル転送 動画ストリーミング、VoIP、DNS

TCP通信の主要な機能

TCP通信には、信頼性の高いデータ転送を実現するための様々な機能が組み込まれています。

まず確認応答(ACK)の仕組みにより、データが正しく届いたことを確認できます。受信側はデータを受け取るたびに確認応答を返すため、送信側は確実に届いたかどうかを把握できるでしょう。

次に順序制御によって、パケットが到着した順番に関わらず、送信した順序通りにデータを復元できます。インターネットでは経路が異なるため順序が入れ替わることがありますが、TCPがシーケンス番号を用いて正しい順序に並び替えるのです。

さらにフロー制御輻輳制御により、受信側の処理能力やネットワークの混雑状態に応じて送信速度を調整します。これにより、効率的かつ安定した通信が維持されます。

コネクション確立の仕組み:3ウェイハンドシェイク

続いては、TCP通信の開始時に行われるコネクション確立の手順を確認していきます。

3ウェイハンドシェイクの流れ

TCPでデータ通信を開始する前に、送信側(クライアント)と受信側(サーバー)の間で3ウェイハンドシェイクと呼ばれる手順が実行されます。この手順により、双方が通信の準備が整ったことを確認し、安定したコネクションを確立するのです。

3ウェイハンドシェイクは、その名の通り3回のパケット交換で構成されます。各段階で特定のフラグを含むパケットをやり取りすることで、通信パラメータの同期と接続の確立を行うでしょう。

【3ウェイハンドシェイクの手順】

1. クライアント → サーバー:SYNパケット送信

2. サーバー → クライアント:SYN-ACKパケット送信

3. クライアント → サーバー:ACKパケット送信

この3回のやり取りでコネクションが確立されます。

各段階の詳細な動作

第1段階では、クライアントがSYN(Synchronize)フラグを立てたパケットをサーバーに送信します。このパケットには、クライアントが使用する初期シーケンス番号が含まれており、通信開始の意思を伝える役割を果たすでしょう。

第2段階では、サーバーがSYNパケットを受信すると、SYNフラグとACKフラグの両方を立てたパケットを返送します。このパケットには、サーバー側の初期シーケンス番号と、クライアントのシーケンス番号に対する確認応答が含まれます。サーバーは接続要求を受け入れたことを示すのです。

第3段階では、クライアントがACKフラグを立てたパケットをサーバーに送信します。この最後の確認応答により、双方のシーケンス番号が同期され、コネクションが正式に確立されるでしょう。この時点から、実際のデータ転送が可能になります。

シーケンス番号の初期化と同期

3ウェイハンドシェイクの重要な役割の一つが、シーケンス番号の同期です。シーケンス番号は、送信するデータの各バイトに付けられる識別番号で、順序制御や重複検出に使用されます。

初期シーケンス番号は、セキュリティ上の理由から予測困難な値がランダムに選ばれるでしょう。これにより、第三者による接続の乗っ取りなどの攻撃を防ぐことができます。

双方が相手の初期シーケンス番号を把握することで、以降のデータ通信において正確な順序管理と欠損検出が可能になるのです。

段階 送信元 フラグ 主な内容 状態遷移
1 クライアント SYN 接続要求、ISN(Client)通知 CLOSED → SYN-SENT
2 サーバー SYN+ACK 接続受諾、ISN(Server)通知、ACK LISTEN → SYN-RECEIVED
3 クライアント ACK 確認応答 SYN-SENT → ESTABLISHED

データ転送とストリーム通信の特徴

続いては、コネクション確立後のデータ転送プロセスを確認していきます。

ストリーム指向の通信方式

TCPはストリーム指向の通信プロトコルです。これは、データをバイトの連続した流れとして扱い、メッセージの境界を意識しない方式でしょう。

アプリケーションから見ると、TCPは単一の連続したバイト列として機能します。送信側が複数回に分けてデータを送っても、受信側ではそれらが結合されて一つのストリームとして受け取られるのです。

この特性により、アプリケーションはデータサイズを気にせず自由に送信でき、TCPが適切なサイズにセグメント化して送信します。ファイル転送やストリーミングなど、大量のデータを扱う用途に適した設計と言えるでしょう。

ストリーム通信では、メッセージの境界を保持する必要がある場合、アプリケーション層で独自のフレーミング処理を実装する必要があります。

セグメント化と最大セグメントサイズ(MSS)

TCPは、アプリケーションから受け取った大きなデータをセグメントと呼ばれる単位に分割して送信します。各セグメントのデータ部分の最大サイズがMSS(Maximum Segment Size)です。

MSSは通常、ネットワークのMTU(Maximum Transmission Unit)から、IPヘッダとTCPヘッダのサイズを差し引いた値になります。イーサネットのMTUが1500バイトの場合、MSSは通常1460バイト(1500 – 20バイト(IP) – 20バイト(TCP))となるでしょう。

適切なMSSを設定することで、IPレベルでの断片化(フラグメンテーション)を避け、効率的なデータ転送が実現できます。MSSはコネクション確立時の3ウェイハンドシェイクで双方が通知し合うのです。

【MSSの計算例】

MTU = 1500バイト

IPヘッダ = 20バイト

TCPヘッダ = 20バイト

MSS = 1500 – 20 – 20 = 1460バイト

順序保証と再送制御

TCPの重要な機能の一つが順序保証です。インターネットではパケットが異なる経路を通るため、送信順序と到着順序が一致しないことがあります。TCPは各セグメントにシーケンス番号を付けることで、この問題を解決するでしょう。

受信側は、シーケンス番号を確認して正しい順序にデータを並べ替えます。順序が狂ったパケットが到着しても、適切な位置に配置されるため、アプリケーションは常に正しい順序でデータを受け取れるのです。

また、パケットが失われた場合には再送制御が働きます。送信側は、一定時間内に確認応答が返ってこないセグメントを自動的に再送します。受信側が重複ACKを送信することで、より迅速な再送(高速再送)も可能になっています。

機能 目的 実現方法
順序保証 データの順序を維持 シーケンス番号による並び替え
再送制御 失われたデータの回復 タイムアウト、高速再送
重複検出 重複パケットの除去 シーケンス番号の確認
フロー制御 受信側の負荷調整 ウィンドウサイズ通知

コネクション切断の手順と状態管理

続いては、TCP通信の終了プロセスと状態遷移を確認していきます。

4ウェイハンドシェイクによる切断

TCPのコネクションを正常に終了する際には、4ウェイハンドシェイクと呼ばれる手順が実行されます。3ウェイハンドシェイクよりも1回多い、4回のパケット交換が行われるでしょう。

この手順が4回必要なのは、TCPが全二重通信をサポートしているためです。各方向の通信を独立して終了させる必要があり、双方が送信を終了したことを確認してから、完全にコネクションをクローズします。

【4ウェイハンドシェイクの手順】

1. クライアント → サーバー:FINパケット送信

2. サーバー → クライアント:ACKパケット送信

3. サーバー → クライアント:FINパケット送信

4. クライアント → サーバー:ACKパケット送信

切断プロセスの詳細

第1段階では、切断を開始する側(アクティブクローズ側)がFIN(Finish)フラグを立てたパケットを送信します。これは「これ以上送信するデータはない」という意思表示でしょう。

第2段階では、相手側(パッシブクローズ側)がFINパケットに対する確認応答(ACK)を返します。この時点ではまだ相手側からのデータ送信が継続している可能性があるため、コネクションは完全には閉じられません。

第3段階では、パッシブクローズ側も送信を終了する準備ができたら、自身のFINパケットを送信します。これにより、双方向の送信終了が宣言されるのです。

第4段階では、アクティブクローズ側が最後の確認応答を返し、コネクションが完全に閉じられます。ただし、アクティブクローズ側はTIME-WAIT状態と呼ばれる待機期間に入り、一定時間(通常2MSL:Maximum Segment Lifetime)コネクション情報を保持します。

TIME-WAIT状態の役割

TIME-WAIT状態は、コネクション終了後に一定期間リソースを保持する仕組みです。この状態には2つの重要な目的があります。

第1に、最後のACKパケットが失われた場合に備えるためです。相手側がACKを受け取れなければ、FINパケットを再送してくるでしょう。TIME-WAIT状態を維持することで、この再送に対して適切に応答できます。

第2に、遅延したパケットが次の同じポート番号を使う新しいコネクションに紛れ込むのを防ぐためです。十分な時間待機することで、古いコネクションのパケットがネットワーク上から消滅することを保証するのです。

TIME-WAIT状態は通常1〜4分程度続き、この間は同じポート番号で新しいコネクションを確立できません。高頻度で接続・切断を繰り返すサーバーでは、TIME-WAIT状態のソケットが蓄積してポート枯渇を起こす可能性があります。

まとめ

TCP通信は、コネクションの確立から切断まで、綿密に設計された手順に従って動作します。3ウェイハンドシェイクによるコネクション確立、シーケンス番号を用いた順序保証、確認応答による信頼性確保、そして4ウェイハンドシェイクによる丁寧な切断処理により、安全で確実なデータ転送が実現されているのです。

ストリーム指向の通信方式により、アプリケーションは複雑な制御を意識せずに大量のデータを送受信できます。TCP層が自動的にセグメント化、順序制御、再送制御を行うことで、開発者は信頼性の高い通信機能を簡単に利用できるでしょう。

これらの仕組みを理解することは、ネットワークプログラミングやトラブルシューティングにおいて非常に重要です。TCPの動作原理を把握することで、より効率的なアプリケーション設計や、通信問題の迅速な解決が可能になります。インターネットの基盤技術として、TCPは今後も重要な役割を果たし続けるでしょう。