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TCPの層とは?TCP/IPモデルとOSI参照モデルでの位置も!(トランスポート層:第4層:レイヤー:階層:プロトコルスタックなど)

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ネットワーク通信を理解する上で欠かせないのが、通信プロトコルがどの層(レイヤー)で動作しているかという概念です。TCPは特定の層に位置づけられ、その役割が明確に定義されています。

通信プロトコルを階層的に整理することで、複雑なネットワーク通信を理解しやすくなるでしょう。各層が独立した機能を持ち、上下の層と連携しながら全体として通信を実現する構造は、現代のインターネットを支える基本設計思想となっています。

本記事では、TCPがどの層に属するのか、TCP/IPモデルとOSI参照モデルという2つの代表的なモデルにおける位置づけ、トランスポート層の役割、そして階層構造やプロトコルスタックの概念まで、詳しく解説していきます。

TCPの層とは何か?階層モデルにおける位置づけ

それではまず、TCPが属する層の基本的な概念について解説していきます。

TCPはトランスポート層のプロトコル

TCP(Transmission Control Protocol)は、ネットワーク通信の階層モデルにおいてトランスポート層(Transport Layer)に位置するプロトコルです。トランスポート層は、エンドツーエンド(端末間)の通信を管理する層でしょう。

トランスポート層の主な役割は、アプリケーション層から受け取ったデータを適切に分割・結合し、信頼性のある通信や効率的なデータ転送を実現することです。TCPはこの層で、確認応答や再送制御、順序保証といった機能を提供します。

トランスポート層は、下位のネットワーク層(IPなど)が提供する経路制御機能の上に、より高度な通信サービスを構築する役割を担っているのです。

TCPはトランスポート層において、信頼性の高いコネクション型通信を提供する代表的なプロトコルとして広く使用されています。

階層モデルの意義

ネットワーク通信を階層化する階層モデルの考え方には、重要な利点があります。複雑な通信処理を機能ごとに分割し、各層が独立して動作できるようにすることで、設計や実装が容易になるでしょう。

各層は明確に定義されたインターフェースを通じて上下の層とやり取りします。これにより、ある層のプロトコルを変更しても、他の層への影響を最小限に抑えられるのです。例えば、トランスポート層のTCPは、下位のネットワーク層がIPv4であってもIPv6であっても同じように動作します。

また、階層化により開発者は特定の層の機能に集中でき、他の層の詳細を意識せずに済みます。Webアプリケーション開発者は、TCPやIPの細かい動作を知らなくても、高度なネットワークアプリケーションを構築できるでしょう。

プロトコルスタックの概念

複数の層のプロトコルが積み重なった構造をプロトコルスタックと呼びます。データ通信では、送信側で上位層から下位層へとデータが渡され、各層でヘッダ情報が付加されていくでしょう。

受信側では逆に、下位層から上位層へとデータが渡され、各層でヘッダが取り除かれていきます。この処理をカプセル化(送信側)とデカプセル化(受信側)と呼ぶのです。

【プロトコルスタックの例】

アプリケーション層:HTTPデータ

↓(カプセル化)

トランスポート層:TCPヘッダ + HTTPデータ

ネットワーク層:IPヘッダ + TCPヘッダ + HTTPデータ

データリンク層:イーサネットヘッダ + IPヘッダ + TCPヘッダ + HTTPデータ + トレーラ

TCP/IPモデルにおけるTCPの位置

続いては、実際のインターネットで使われているTCP/IPモデルでのTCPの位置を確認していきます。

TCP/IPモデルの4階層構造

TCP/IPモデルは、インターネットで実際に使用されているプロトコル群を整理した階層モデルです。一般的には4つの層で構成されます。

最下層から順に、ネットワークインターフェース層(またはリンク層)、インターネット層、トランスポート層、アプリケーション層となっています。このモデルは実用性を重視した設計であり、実際のプロトコル実装と密接に対応しているでしょう。

TCPは、この4層構造の中で下から第3層のトランスポート層に位置します。同じトランスポート層には、UDPやSCTPなどの他のプロトコルも含まれるのです。

層番号 層名 主なプロトコル例 役割
第4層 アプリケーション層 HTTP、SMTP、FTP、DNS アプリケーション固有の処理
第3層 トランスポート層 TCP、UDP エンドツーエンド通信制御
第2層 インターネット層 IP、ICMP、ARP ルーティング、アドレス管理
第1層 ネットワークインターフェース層 Ethernet、Wi-Fi、PPP 物理的なデータ送受信

トランスポート層の詳細な役割

TCP/IPモデルにおけるトランスポート層は、アプリケーション間の論理的な通信を提供する層です。下位のインターネット層が提供するホスト間通信の上に、プロセス間通信を構築します。

トランスポート層ではポート番号を使用して、同一ホスト上の複数のアプリケーションを識別します。例えば、Webサーバーはポート80番、メールサーバーはポート25番というように、サービスごとに異なるポート番号が割り当てられるでしょう。

TCPはこの層で、信頼性の高い通信、順序保証、フロー制御、輻輳制御などの高度な機能を実現しています。一方、同じ層のUDPは、シンプルで低遅延な通信を提供するのです。

他の層との連携

トランスポート層のTCPは、上位のアプリケーション層と下位のインターネット層の間で重要な橋渡しをします。

上位のアプリケーション層からは、HTTPやSMTPなどのプロトコルがTCPのサービスを利用します。TCPはアプリケーションが意識しなくても、データの分割、再送、順序制御などを自動的に処理してくれるでしょう。

下位のインターネット層(主にIP)に対しては、TCPセグメントをIPパケットとして送信するよう依頼します。IPは宛先IPアドレスに基づいてパケットをルーティングしますが、信頼性保証はTCPが担当するのです。

各層が明確な責任分担をすることで、複雑なネットワーク通信が効率的に実現されています。TCPは中間層として、上下の層を繋ぐ重要な役割を果たしているのです。

OSI参照モデルにおけるTCPの位置

続いては、理論的な標準モデルであるOSI参照モデルでのTCPの位置を確認していきます。

OSI参照モデルの7階層構造

OSI参照モデル(Open Systems Interconnection Reference Model)は、国際標準化機構(ISO)が定義した7階層のネットワークモデルです。TCP/IPモデルより理論的・包括的な構造を持っています。

7つの層は、下から物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層、セッション層、プレゼンテーション層、アプリケーション層となっています。各層が非常に明確に分離されており、教育や設計の参照モデルとして広く使われているでしょう。

TCPは、OSI参照モデルでは第4層のトランスポート層に分類されます。TCP/IPモデルと同じ層名ですが、番号が異なる点に注意が必要です。

層番号 層名 主な機能 TCP/IPとの対応
第7層 アプリケーション層 ユーザーアプリケーション アプリケーション層
第6層 プレゼンテーション層 データ表現形式の変換
第5層 セッション層 セッション管理
第4層 トランスポート層 エンドツーエンド通信 トランスポート層
第3層 ネットワーク層 ルーティング インターネット層
第2層 データリンク層 隣接ノード間通信 ネットワークインターフェース層
第1層 物理層 物理的信号伝送

OSI第4層の機能と責任

OSI参照モデルの第4層トランスポート層は、信頼性のあるエンドツーエンド通信を提供する責任を持ちます。下位3層(物理層、データリンク層、ネットワーク層)が提供するネットワークサービスの上に、より高品質な通信サービスを構築するでしょう。

この層の主な機能には、セグメント化と再組み立て、コネクション管理、エラー検出と回復、フロー制御などがあります。TCPはこれらの機能を実装した代表的なプロトコルなのです。

OSIモデルでは、トランスポート層が信頼性の境界として位置づけられています。下位層は必ずしも信頼性を保証せず、トランスポート層が必要に応じて信頼性を付加する設計思想があるでしょう。

TCP/IPモデルとOSIモデルの違い

TCP/IPモデル(4層)とOSI参照モデル(7層)は、どちらもネットワーク通信を階層化していますが、いくつかの重要な違いがあります。

まず、層の数が異なります。OSIモデルの上位3層(アプリケーション層、プレゼンテーション層、セッション層)は、TCP/IPモデルでは1つのアプリケーション層にまとめられているのです。

また、開発の背景も異なるでしょう。TCP/IPモデルは実際のインターネットプロトコルから発展した実用的モデルであり、OSI参照モデルは理論的に設計された標準モデルです。結果として、TCP/IPモデルの方が実装との対応が直接的になっています。

【モデル間の対応関係】

OSI第7-5層(アプリケーション、プレゼンテーション、セッション)

TCP/IP第4層(アプリケーション)

OSI第4層(トランスポート)

TCP/IP第3層(トランスポート)← TCPはここ

OSI第3層(ネットワーク)

TCP/IP第2層(インターネット)

階層構造とレイヤーの実践的な理解

続いては、階層構造の実際の動作と実践的な側面を確認していきます。

各層での処理の流れ

データが送信される際、各層で特定の処理が行われます。アプリケーション層でHTTPリクエストが生成されると、それがトランスポート層のTCPに渡されるでしょう。

TCPは受け取ったデータにTCPヘッダを付加します。ヘッダには送信元ポート番号、宛先ポート番号、シーケンス番号、確認応答番号などの制御情報が含まれるのです。このTCPヘッダとデータを合わせたものをTCPセグメントと呼びます。

次に、TCPセグメントがインターネット層のIPに渡されます。IPはIPヘッダを追加し、送信元IPアドレスと宛先IPアドレスなどの情報を付加してIPパケットを作成するでしょう。

最後に、ネットワークインターフェース層でイーサネットヘッダなどが追加され、物理的な伝送が可能なフレームとして送出されます。受信側では、この逆の手順でデータが取り出されるのです。

ヘッダのカプセル化

各層でヘッダが付加される処理をカプセル化(Encapsulation)と呼びます。上位層のデータ全体が、下位層から見ると単なるペイロード(運ぶべきデータ)として扱われるでしょう。

例えば、トランスポート層から見れば、アプリケーション層のHTTPデータは単なるデータです。TCPはその内容を解釈せず、ヘッダを付けて下位層に渡します。この層間の独立性により、各層が他の層の詳細を知らなくても機能できるのです。

処理段階 追加される情報 データ単位の名称
1 アプリケーション アプリケーションデータ メッセージ
2 トランスポート(TCP) TCPヘッダ セグメント
3 インターネット(IP) IPヘッダ パケット
4 ネットワークインターフェース フレームヘッダ・トレーラ フレーム

レイヤー間の通信とインターフェース

各層は、標準化されたインターフェースを通じて上下の層とやり取りします。このインターフェースにより、特定の層の実装を変更しても、他の層への影響を最小限に抑えられるでしょう。

例えば、トランスポート層のインターフェースは、アプリケーション層に対して「データを送信する」「データを受信する」「コネクションを確立する」といった抽象的なサービスを提供します。アプリケーション開発者は、TCPの内部動作を知らなくても、これらのインターフェースを使って通信できるのです。

同様に、TCPはインターネット層に対して「このデータを指定したIPアドレスに送ってください」という形で依頼します。IPがどのようにルーティングするかは、TCPにとって透過的な処理となっています。

階層化とインターフェースの標準化により、異なるベンダーの製品やソフトウェアが相互運用できる、オープンなネットワーク環境が実現されています。

まとめ

TCPは、TCP/IPモデルではトランスポート層(第3層)、OSI参照モデルでは第4層に位置するプロトコルです。どちらのモデルでも、エンドツーエンドの信頼性ある通信を提供する層として定義されており、ネットワーク通信において中核的な役割を果たしています。

階層化されたプロトコルスタックの概念により、複雑なネットワーク通信が整理され、各層が明確な責任を持って機能します。TCPはトランスポート層で、上位のアプリケーション層に対して信頼性の高い通信サービスを提供し、下位のネットワーク層やデータリンク層の機能を活用しながら動作するでしょう。

ネットワークの階層構造とTCPの位置づけを理解することは、ネットワーク設計やトラブルシューティングにおいて非常に重要です。各層の役割を把握することで、問題が発生した際にどの層で何が起きているかを特定しやすくなり、効果的な対処が可能になります。インターネットの基盤を支える階層構造とTCPの役割を理解することで、より深いネットワーク知識が身につくでしょう。