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タングステンの熱伝導率と磁性は?W/m・Kの数値と温度依存性・強磁性かどうかも解説

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タングステン(元素記号W)は、あらゆる金属のなかでも際立った物性を持つ元素として知られています。

特に熱伝導率や磁性は、材料選定や工業用途において非常に重要な指標となります。

「タングステンの熱伝導率はどのくらいか」「温度が変わると値はどう変化するのか」「そもそも強磁性体なのか」といった疑問を持つ方は少なくありません。

本記事では、タングステンの熱伝導率をW/m・Kの数値で具体的に示しながら、温度依存性や磁性についてもわかりやすく解説していきます。

材料工学・物理・製造現場など、幅広い分野で役立つ情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。

タングステンの熱伝導率は約170〜180 W/m・Kで、磁性は常磁性体

それではまず、タングステンの熱伝導率と磁性の概要について解説していきます。

タングステンの熱伝導率は、室温(約20〜25℃)において約170〜180 W/m・Kとされています。

この値は、金属全体のなかでは中〜高程度に位置し、銅(約400 W/m・K)やアルミニウム(約200 W/m・K)には及ばないものの、鉄(約80 W/m・K)やニッケルなどと比べると明らかに高い水準です。

熱を効率よく伝える能力を持ちながら、同時に融点が約3422℃と全金属中最高であることから、高温環境下での使用に非常に適した材料といえます。

タングステンの室温における熱伝導率は約174 W/m・Kで、高融点・高密度・高熱伝導性を兼ね備えた希少な金属です。

磁性については、タングステンは常磁性体(paramagnet)に分類されます。

強磁性体(ferromagnet)である鉄・ニッケル・コバルトとは異なり、外部磁場を取り除けば磁化が消えてしまう性質を持っています。

つまり、タングステンは磁石に強く引き寄せられる素材ではなく、磁気特性が求められる用途には向いていません。

一方、磁場の影響を受けにくいという特性は、精密機器や医療用途での活用において大きなメリットにもなります。

タングステンの熱伝導率の温度依存性とその変化の傾向

続いては、タングステンの熱伝導率が温度によってどのように変化するかを確認していきます。

多くの金属と同様に、タングステンの熱伝導率も温度が上昇するにつれて低下する傾向があります。

これは、温度が高くなるほど格子振動(フォノン)が増加し、電子の移動が妨げられるためです。

以下の表に、代表的な温度における熱伝導率の目安をまとめました。

温度(℃) 熱伝導率(W/m・K)
20(室温) 約174
200 約162
500 約145
1000 約121
1500 約107
2000 約95
2500 約87

このように、室温から2500℃まで温度が上昇すると、熱伝導率はおよそ半分程度まで低下することがわかります。

ただし、それでも2000℃超の超高温域でも90 W/m・K前後の熱伝導率を維持しており、他の多くの耐熱材料と比較しても優れた性能を保っています。

熱伝導率の温度依存性は、主に以下の式で表されます。

λ(T) = λ₀ × f(T)

ここでλ₀は基準温度(室温)の熱伝導率、f(T)は温度に依存する補正係数です。

タングステンの場合、高温になるほどf(T)は小さくなり、熱伝導率が低下します。

この温度依存性は、熱設計や高温プロセスの計算において非常に重要な情報です。

特に半導体製造装置や宇宙・航空分野での使用においては、動作温度に応じた正確な熱伝導率の把握が安全設計に直結します。

なお、非常に低温域(極低温)では逆に熱伝導率が増加するケースもあり、用途に応じた温度特性の確認が欠かせません。

タングステンの磁性は常磁性 強磁性との違いを詳しく確認

続いては、タングステンの磁性について、強磁性との違いを交えながら詳しく確認していきます。

常磁性体とはどのような性質か

常磁性体とは、外部磁場が加わったときだけ弱い磁化が生じ、磁場を取り除くと磁化が消える材料のことです。

タングステンはこの常磁性体に該当し、比透磁率(μr)は1をわずかに上回る程度の値を持ちます。

常磁性の原因は、原子内の電子スピンが外部磁場に応じて一部整列することにありますが、熱エネルギーによって乱されるため、強い磁化は生じません。

強磁性体との根本的な違い

強磁性体(鉄・ニッケル・コバルトなど)は、磁場がない状態でも自発磁化を持ち、外部磁場に強く反応します。

これは、電子スピンが自発的に同じ方向に揃う「磁区」が形成されるためです。

一方、タングステンにはこのような磁区構造が形成されず、磁場を加えても強い磁化は得られません。

この違いは、原子の電子配置と結晶構造に起因するものです。

タングステンの磁性が活かされる場面

常磁性であるタングステンは、磁場の影響を受けにくいという特徴から、MRI装置周辺部品や精密測定機器などで重宝されています。

また、強磁性を持たないことで、磁気干渉を避けたい電子部品や放射線遮蔽材としての用途にも対応可能です。

磁性が低いこと自体が、タングステンの大きな強みのひとつといえるでしょう。

タングステンの物性と他金属との比較 熱伝導率・磁性以外の特徴も確認

続いては、熱伝導率や磁性以外の物性についても確認しながら、他の金属との比較を行っていきます。

タングステンの基本的な物性一覧

タングステンは、熱伝導率や磁性だけでなく、さまざまな点で突出した物性を持っています。

以下の表に、主要な物性値をまとめました。

物性項目 タングステン(W)の値
融点 約3422℃(全金属中最高)
密度 約19.3 g/cm³
熱伝導率(室温) 約174 W/m・K
電気抵抗率(室温) 約5.3×10⁻⁸ Ω・m
線膨張係数 約4.5×10⁻⁶ /K
ヤング率 約411 GPa
磁性 常磁性

特に密度が約19.3 g/cm³と非常に高く、これは鉛(約11.3 g/cm³)の約1.7倍、鉄(約7.9 g/cm³)の約2.4倍に相当します。

線膨張係数が小さいことも特徴で、高温でも寸法変化が少なく、精密部品への応用に向いています。

他の主要金属との熱伝導率比較

タングステンの熱伝導率を他の金属と比較すると、その位置づけがより明確になります。

金属 熱伝導率(W/m・K) 磁性
銀(Ag) 約429 反磁性
銅(Cu) 約400 反磁性
アルミニウム(Al) 約236 常磁性
タングステン(W) 約174 常磁性
鉄(Fe) 約80 強磁性
ニッケル(Ni) 約91 強磁性
チタン(Ti) 約22 常磁性

タングステンは銅やアルミニウムほど熱伝導率は高くないものの、超高温でも形状・強度を維持しながら熱を伝えられる点が他の金属にはない強みです。

銅やアルミニウムは融点が低いため、高温環境での使用には限界がありますが、タングステンはその制約を大幅に超えた領域で活躍できます。

タングステンが使用される主な産業分野

タングステンの物性は、さまざまな産業分野で活用されています。

照明用フィラメント、半導体製造装置、切削工具、放射線遮蔽材など、その用途は非常に幅広いものです。

また、合金材料としても重要で、超硬合金(タングステンカーバイド)は金属加工や掘削ツールとして世界中で使用されています。

医療分野では、放射線を遮蔽するコリメータや容器の素材としても活躍しており、その高密度・低磁性・耐熱性が総合的に評価されています。

まとめ

本記事では、「タングステンの熱伝導率と磁性は?W/m・Kの数値と温度依存性・強磁性かどうかも解説」というテーマで、タングステンの物性について詳しく解説しました。

タングステンの室温における熱伝導率は約174 W/m・Kであり、温度が上昇するにつれて徐々に低下するものの、2000℃超の超高温域でも90 W/m・K前後の水準を維持します。

磁性については常磁性体に分類され、強磁性体のように磁場に強く反応することはありません。

この特性は、精密機器や医療用途における磁場干渉の回避という観点から、大きなアドバンテージとなります。

タングステンは「高融点・高密度・高熱伝導・常磁性」という4つの特性を兼ね備えた、極めて特異な金属です。用途に応じた温度域での熱伝導率を正確に把握することが、安全で効率的な設計につながります。

熱設計・材料選定・工業応用のあらゆる場面で、タングステンの正確な物性データを活用していただければ幸いです。