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二酸化炭素の融点は?ドライアイスとの関係や昇華点・密度も解説【公的機関のリンク付き】

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「二酸化炭素の融点はどのくらいなのか?」と疑問に思ったことはないでしょうか。

二酸化炭素(CO₂)は私たちの生活に非常に身近な物質であり、地球温暖化の文脈でもよく耳にします。

しかし、その物理的な性質——融点、昇華点、密度——について詳しく知っている方は意外と少ないかもしれません。

この記事では「二酸化炭素の融点は?ドライアイスとの関係や昇華点・密度も解説」と題して、二酸化炭素の基本的な物性を丁寧にわかりやすく解説していきます。

ドライアイスがなぜ液体にならずに直接気体になるのか、昇華点とは何か、密度はどのくらいかなど、気になるポイントをすべて網羅しました。

ぜひ最後までご覧ください。

二酸化炭素の融点は-56.6℃(三重点)——通常条件では液体にならない

それではまず、二酸化炭素の融点について解説していきます。

二酸化炭素の融点は、約-56.6℃(216.6K)とされています。

ただし、これは一般的な「融点」の定義とは少し異なる点に注意が必要です。

通常、融点とは固体が液体に変化する温度を指しますが、二酸化炭素が液体になるためには、5.18気圧(約0.518 MPa)以上の高圧条件が必要になります。

つまり、私たちが普段生活している1気圧の環境では、二酸化炭素は固体から直接気体へと変化(昇華)し、液体の状態を経ないのです。

二酸化炭素が液体として存在できるのは、三重点(温度:-56.6℃、圧力:5.18気圧)以上の圧力がかかっている条件下のみです。

一般的な大気圧(1気圧)では、液体の二酸化炭素は存在できません。

三重点(Triple Point)とは、固体・液体・気体の3つの状態が同時に共存できる温度と圧力の条件のことをいいます。

二酸化炭素の三重点は、温度-56.6℃・圧力5.18気圧であり、この条件を下回る圧力環境では液体の状態が存在できません。

融点と三重点の違いを理解しよう

融点と三重点は混同されやすい概念ですが、明確に区別することが大切です。

融点とは固体と液体が共存できる温度(一定の圧力下)のことを指し、三重点とは固体・液体・気体がすべて共存できる唯一の温度と圧力の組み合わせのことです。

水(H₂O)の場合、融点は0℃(1気圧)で液体が普通に存在しますが、二酸化炭素は1気圧では三重点の圧力に達しないため、液体状態を経ずに昇華してしまいます。

二酸化炭素の三重点データ

温度:-56.6℃(216.6K)

圧力:5.18気圧(0.518 MPa)

この条件以下の圧力(例:1気圧)では固体→気体へ直接変化(昇華)

高圧条件下では液体の二酸化炭素も存在する

「二酸化炭素は液体にならない」と聞いて驚く方もいるかもしれませんが、高圧環境下では液体の二酸化炭素も存在します。

例えば、消火器の中に入っている二酸化炭素は液体状態で封入されています。

これは消火器内部が高圧に保たれているためであり、外気(1気圧)に放出されると瞬時に気体へと変化します。

また、食品業界や飲料製造においても、液体二酸化炭素は炭酸ガスの供給源として活用されています。

二酸化炭素の状態変化をまとめた相図(状態図)

二酸化炭素の状態変化は「相図(P-T図)」で視覚的に理解できます。

横軸に温度、縦軸に圧力をとったグラフ上に、固体・液体・気体の各領域が描かれており、三重点と臨界点が示されます。

状態 条件(目安) 具体例
固体(ドライアイス) -78.5℃以下・1気圧 ドライアイス
液体 -56.6℃以上・5.18気圧以上 消火器内・液化CO₂ボンベ
気体 -78.5℃以上・1気圧 大気中のCO₂
超臨界流体 31.1℃以上・72.8気圧以上 超臨界CO₂(抽出溶媒など)

二酸化炭素は臨界点(31.1℃・72.8気圧)を超えると超臨界流体という特殊な状態にもなります。

超臨界二酸化炭素はコーヒーのカフェイン除去や香料抽出など、産業分野でも幅広く活用されている点も覚えておくといいでしょう。

ドライアイスと二酸化炭素の関係——昇華点-78.5℃の仕組み

続いては、ドライアイスと二酸化炭素の昇華点の関係を確認していきます。

ドライアイスとは、二酸化炭素を固体にしたもののことです。

名前に「アイス」と付いていますが、水を凍らせた氷とはまったく異なる物質であることに注意しましょう。

ドライアイスの最大の特徴は、1気圧の環境において液体を経ずに固体から直接気体へと変化する「昇華」という現象を起こすことです。

昇華点とは何か——-78.5℃という数字の意味

昇華点(Sublimation Point)とは、固体が液体を経ずに直接気体に変化する温度のことをいいます。

二酸化炭素(ドライアイス)の昇華点は、1気圧下において-78.5℃(194.65K)です。

この温度を超えると、ドライアイスはすぐに気体の二酸化炭素となって空気中に拡散していきます。

ドライアイスの昇華点は1気圧下で-78.5℃です。

これは水の沸点(100℃)と比較しても、はるかに低い温度です。

この極低温が保冷剤・冷却剤としてのドライアイスの有効性を支えています。

「なぜ白い煙が出るのか」と不思議に思ったことはないでしょうか。

ドライアイスが昇華するとき、周囲の空気が急激に冷やされ、空気中の水蒸気が水の微粒子(霧)になります。

この霧が白い煙のように見えているのであり、二酸化炭素そのものは無色透明の気体です。

ドライアイスの製造方法と用途

ドライアイスは、高圧下で液化された二酸化炭素を急激に減圧・膨張させることで製造されます。

膨張の際に温度が急降下し、固体の二酸化炭素——すなわちドライアイスが生成されます。

ドライアイスの主な用途としては以下が挙げられます。

食品や医薬品の低温輸送・保冷、舞台演出や映像制作でのスモーク演出、ドライアイスブラスト(CO₂ペレットを用いた洗浄技術)などが代表的な例といえるでしょう。

ドライアイスを扱う際の注意点

ドライアイスは非常に便利な冷却材ですが、取り扱いには細心の注意が必要です。

素手で直接触ると凍傷を起こす危険があるため、必ず断熱手袋や厚手の布を使用しましょう。

また、密閉空間でドライアイスを使用すると、昇華した二酸化炭素が蓄積して酸欠状態になる危険性があります。

必ず換気を確保した場所で使用することが重要です。

厚生労働省の化学物質管理指針でも、二酸化炭素の高濃度環境における健康リスクが指摘されています。

(参考:厚生労働省公式サイト

二酸化炭素の密度——気体・液体・固体それぞれの数値を確認

続いては、二酸化炭素の密度について確認していきます。

密度(Density)とは、単位体積あたりの質量のことであり、物質の状態(固体・液体・気体)によって大きく異なります。

二酸化炭素の密度を各状態ごとに整理してみましょう。

状態 密度(目安) 比較対象
気体(0℃・1気圧) 約1.977 kg/m³ 空気(約1.293 kg/m³)の約1.5倍
液体(-20℃) 約1,032 kg/m³ 水(1,000 kg/m³)とほぼ同程度
固体(ドライアイス・-78.5℃) 約1,562 kg/m³ 水の氷(917 kg/m³)より高密度

気体の二酸化炭素は空気より重い

二酸化炭素の気体としての密度は、0℃・1気圧の条件下で約1.977 kg/m³です。

一方、空気の密度は同条件で約1.293 kg/m³であるため、二酸化炭素は空気の約1.5倍の重さがあることになります。

これは二酸化炭素の分子量(44 g/mol)が空気の平均分子量(約29 g/mol)より大きいためです。

この性質から、二酸化炭素は低い場所や密閉空間の床付近に溜まりやすいという特徴があります。

火山の火口付近や地下施設などでの酸欠事故のリスクはこの密度の違いが関係しています。

二酸化炭素の分子量計算

CO₂の分子量=炭素(C)の原子量12+酸素(O)の原子量16×2=12+32=44 g/mol

空気の平均分子量は約29 g/mol

44÷29≒1.52倍 → 二酸化炭素は空気の約1.5倍の重さ

固体(ドライアイス)の密度は水の氷より高い

ドライアイスの密度は約1,562 kg/m³であり、水の氷(約917 kg/m³)と比べると約1.7倍の高密度です。

これはドライアイスが非常に密に詰まった結晶構造を持っているためです。

一般的に固体の密度が高いほど、同じ体積での冷却効率も高くなる傾向があります。

ドライアイスが優れた保冷材として利用される理由のひとつは、この高密度にあるといえるでしょう。

密度の違いが生み出す実用上の影響

二酸化炭素の密度特性は、産業・安全管理の両面で重要な意味を持ちます。

消火器の消火剤として二酸化炭素が使われる際は、空気より重いという性質を利用して火元の酸素を遮断する仕組みになっています。

また、食品業界では液体二酸化炭素の密度特性を活かして、炭酸飲料の製造や急速冷凍ラインへの応用が進んでいます。

密度は単なる物理定数にとどまらず、実際の技術設計や安全基準に深く関わる重要なデータといえます。

(参考:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)

二酸化炭素の基本物性まとめ——分子量・臨界点・沸点も一覧で確認

続いては、二酸化炭素の基本物性をより幅広く確認していきます。

融点・昇華点・密度以外にも、二酸化炭素には押さえておきたい重要な物性データが多数あります。

二酸化炭素の基本物性一覧

以下の表に、二酸化炭素の主要な物性値をまとめました。

物性項目 数値・条件
化学式 CO₂
分子量 44.01 g/mol
融点(三重点温度) -56.6℃(5.18気圧以上で液体になる)
昇華点(1気圧) -78.5℃
臨界温度 31.1℃
臨界圧力 72.8気圧(7.38 MPa)
気体密度(0℃・1気圧) 約1.977 kg/m³
液体密度(-20℃) 約1,032 kg/m³
固体密度(ドライアイス) 約1,562 kg/m³
色・臭気 無色・無臭
水への溶解性 溶けやすい(炭酸を形成)

これらのデータは、化学・工学・環境科学など幅広い分野の基礎知識として活用されています。

(参考:国立環境研究所(NIES)

臨界点と超臨界二酸化炭素の産業利用

二酸化炭素は温度31.1℃・圧力72.8気圧以上の条件で超臨界流体という特殊な状態になります。

超臨界状態の二酸化炭素は、気体と液体の中間的な性質を持ち、優れた溶解性と拡散性を示します。

この特性を活かして、コーヒーのカフェイン除去(デカフェ)・香料抽出・電子部品の洗浄・プラスチックの発泡成形など、多様な産業分野で超臨界CO₂は利用されています。

環境負荷が低く、有機溶媒に代わるグリーン溶媒としても注目されている点は覚えておくといいでしょう。

二酸化炭素と地球温暖化——物性と環境の関係

二酸化炭素の物性と地球温暖化は、切り離せない関係にあります。

大気中の二酸化炭素濃度が増加することで温室効果が強まり、地球全体の平均気温が上昇するとされています。

国立環境研究所のデータによると、大気中のCO₂濃度は産業革命以降急激に増加しており、現在では約420 ppm(2023年時点)に達しています。

二酸化炭素の物理的・化学的性質を正確に理解することは、環境問題への科学的アプローチの第一歩といえるでしょう。

(参考:環境省公式サイト

まとめ

この記事では「二酸化炭素の融点は?ドライアイスとの関係や昇華点・密度も解説」と題して、二酸化炭素の主要な物性について詳しくご説明しました。

最後に重要なポイントを整理しておきましょう。

二酸化炭素の融点(三重点温度)は-56.6℃ですが、液体として存在するには5.18気圧以上の高圧が必要です。

一般的な1気圧の環境では、固体(ドライアイス)から直接気体へと昇華します。

その昇華点は-78.5℃(1気圧)です。

密度については、気体では空気の約1.5倍(約1.977 kg/m³)であり、固体(ドライアイス)では約1,562 kg/m³と水の氷より高密度です。

また、31.1℃・72.8気圧以上では超臨界流体となり、産業・食品・環境分野で幅広く活用されています。

二酸化炭素は地球温暖化と深く関わる物質でもあるため、その基本物性を正しく知ることは科学リテラシーの向上にもつながります。

ぜひ今回の内容を参考に、日常生活や学習・業務にお役立てください。