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熱伝導率の測定装置は?レーザーフラッシュ法・熱線法の原理と装置の種類も解説

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熱伝導率の測定は、材料の熱特性を正確に把握するために欠かせない技術です。

断熱材・半導体・金属・セラミックスなど、幅広い分野で材料の熱管理が重視される現代において、熱伝導率を高精度に測定する装置や手法への関心はますます高まっています。

しかし「どのような装置が存在するのか」「それぞれの測定原理はどう違うのか」という点が分かりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、熱伝導率の測定装置は?レーザーフラッシュ法・熱線法の原理と装置の種類も解説というテーマのもと、代表的な測定手法であるレーザーフラッシュ法・熱線法をはじめ、各装置の特徴や選び方まで丁寧に解説していきます。

熱伝導率の測定装置は、用途と試料形状によって最適な手法が異なる

それではまず、熱伝導率測定装置の全体像と選び方の基本について解説していきます。

熱伝導率の測定装置は、大きく分けて「定常法」と「非定常法」の2種類に分類されます。

定常法は熱の流れが安定した状態で測定を行う手法であり、非定常法は時間変化を利用して熱特性を求める手法です。

どちらが優れているというわけではなく、測定対象となる材料の形状・熱伝導率の範囲・測定温度帯などによって、適切な装置と手法を選ぶことが重要です。

熱伝導率測定装置を選ぶ際の主なポイントは、「試料の形状(バルク・薄膜・粉末など)」「測定温度域」「熱伝導率のオーダー(低熱伝導か高熱伝導か)」の3点です。

これらを事前に整理しておくことで、最適な測定手法・装置が絞り込めます。

例えば、金属のような高熱伝導材料にはレーザーフラッシュ法が適しており、断熱材のような低熱伝導材料には熱線法や熱流計法が向いています。

また、薄膜や微小試料に対応した装置も近年開発が進んでおり、用途の多様化に伴って選択肢が広がっています。

レーザーフラッシュ法の原理と装置の特徴

続いては、最も広く用いられている非定常法の一つ、レーザーフラッシュ法について確認していきます。

レーザーフラッシュ法の基本原理

レーザーフラッシュ法(LFA法)は、試料の片面にパルス状のレーザーを照射し、反対面の温度変化を赤外線センサーで検出することで熱拡散率を求める手法です。

得られた熱拡散率に密度と比熱を掛け合わせることで、熱伝導率を算出します。

熱伝導率 λ の計算式

λ(熱伝導率)= α(熱拡散率)× ρ(密度)× Cp(比熱容量)

熱拡散率 α は、試料厚さ L と温度が最大値の半分に達するまでの時間 t1/2 から以下のように求められます。

α = 0.1388 × L² ÷ t1/2

この手法の大きな特徴は、測定時間が非常に短く(数十ミリ秒〜数秒程度)、試料を非破壊で測定できる点にあります。

また、室温から1000℃以上の高温域まで対応できる装置も多く、金属・セラミックス・炭素材料など幅広い材料に対応可能です。

レーザーフラッシュ法の装置構成

レーザーフラッシュ法の装置は、主に以下の要素で構成されています。

構成要素 役割
パルスレーザー光源 試料片面にエネルギーを瞬時に照射する
試料ホルダー・炉体 試料を保持し、温度制御を行う
赤外線検出器 試料裏面の温度上昇を高速・高感度で検出する
データ解析システム 温度-時間曲線から熱拡散率・熱伝導率を算出する

代表的なメーカーとしては、NETZSCH(ネッチ)社の「LFA 467 HyperFlash」やリガク社の製品などが知られています。

これらの装置は、高い再現性と自動化機能を備えており、研究機関や品質管理の現場で広く導入されています。

レーザーフラッシュ法の適用材料と注意点

レーザーフラッシュ法は多くの材料に適用できますが、いくつかの注意点もあります。

試料はディスク状(直径約10〜12mm、厚さ1〜3mm程度)に加工する必要があり、光を透過しやすい材料(透明なガラスや一部の樹脂)には表面処理(グラファイトコーティングなど)が必要になる場合があります。

また、非常に低い熱伝導率を持つ材料(λ < 0.1 W/m・K)では精度が低下することもあるため、その場合は別の測定手法との組み合わせを検討するとよいでしょう。

熱線法の原理と装置の種類

続いては、非定常法のもう一つの代表格である熱線法について確認していきます。

熱線法(ホットワイヤー法)の基本原理

熱線法は、試料中に細い発熱線(ホットワイヤー)を埋め込み、一定の電力を印加した際の温度上昇を時間の関数として計測する手法です。

温度上昇の速度が熱伝導率に依存することを利用して、熱伝導率を算出します。

熱線法における熱伝導率の計算式(近似式)

λ = Q ÷ (4π × ΔT / ln(t2/t1))

Q:単位長さあたりの発熱量(W/m)

ΔT:時刻 t1 から t2 の間の温度変化(K)

熱線法の大きなメリットは、試料の形状に制約が少なく、粉末・液体・ペースト状の材料にも対応できる点です。

断熱材や耐火物、土壌・食品・生体材料など多様な試料に適用されており、測定レンジも広いのが特徴といえます。

熱線法の装置の種類と特徴

熱線法にはいくつかのバリエーションがあり、用途に応じて使い分けられています。

手法名 特徴 主な適用材料
ホットワイヤー法 発熱線と熱電対を試料に挿入して測定。シンプルな構成。 耐火物、セラミックス、土壌
ホットディスク法(TPS法) 円盤状センサーを試料に挟み、熱拡散率・熱伝導率・比熱を同時計測。 樹脂、複合材、食品、粉体
熱線プローブ法 針状プローブを試料に刺入して現場測定が可能。 生体組織、食品、土壌

中でもホットディスク法(TPS法)は、一度の測定で熱伝導率・熱拡散率・体積比熱を同時に得られる利便性から、近年急速に普及しています。

代表的な装置としては、Hot Disk社の「TPS 2500 S」などが挙げられ、研究開発から品質管理まで幅広く活用されています。

熱線法の測定上の注意点

熱線法を使用する際には、試料の均質性・含水率・試料と発熱線の密着度が測定精度に大きく影響します。

特に、発熱線と試料の間に隙間や熱的な接触抵抗がある場合、誤差が生じやすい点に注意が必要です。

また、高温下での長時間測定では発熱線の酸化や変形が懸念されるため、装置の仕様と使用環境を照らし合わせて選定することが大切です。

定常法・その他の測定手法と装置の比較

続いては、定常法を中心としたその他の熱伝導率測定手法についても確認していきます。

定常法(熱流計法・平板法)の原理

定常法は、試料の両面に一定の温度差を設け、熱が定常状態で流れているときの熱流束から熱伝導率を求める手法です。

フーリエの熱伝導則(λ = Q × d ÷ (A × ΔT))を直接適用する、最も古典的かつ直感的な手法といえます。

フーリエの熱伝導則

λ = Q × d ÷ (A × ΔT)

Q:熱流量(W)

d:試料厚さ(m)

A:断面積(m²)

ΔT:両面の温度差(K)

熱流計法はその代表例であり、断熱材やポリマー系材料など低熱伝導率材料の測定に特に適した手法です。

ISO 8301などの国際規格に準拠した装置が広く使用されており、建材・断熱材分野での標準的な測定手法として位置付けられています。

各測定手法の比較一覧

ここでは主要な熱伝導率測定手法を一覧で整理します。

目的や試料の種類に応じて、最適な手法を選ぶ際の参考にしてみてください。

測定手法 測定方式 適用熱伝導率の目安 主な対象材料 特徴
レーザーフラッシュ法 非定常 1〜1500 W/m・K 金属、セラミックス、炭素材料 高温対応・高速測定
ホットワイヤー法 非定常 0.02〜20 W/m・K 耐火物、セラミックス シンプル・汎用性高
ホットディスク法(TPS) 非定常 0.01〜500 W/m・K 樹脂、粉体、食品など幅広く 3物性値を同時測定
熱流計法 定常 0.01〜1 W/m・K 断熱材、建材、ポリマー 低熱伝導材料に最適
平板法(保護熱板法) 定常 0.005〜2 W/m・K 断熱材、建材 高精度・国際規格対応

薄膜・微小試料向けの特殊測定手法

近年は半導体デバイスや電子部品の高性能化・小型化に伴い、薄膜や微小試料の熱伝導率測定ニーズも急増しています。

このような用途には、3ω法(サーモリフレクタンス法)やマイクロ加熱法といった特殊な測定手法が用いられます。

3ω法は、試料表面に形成した細い金属ヒーターに3倍周波数の電気信号が現れる原理を利用して、熱伝導率を高精度に求める手法です。

薄膜(数nm〜数μm)の測定に対応できる点が最大の特徴であり、半導体や電子材料の研究に不可欠な技術となっています。

また、時間領域サーモリフレクタンス法(TDTR法)も超薄膜・界面熱抵抗の評価に広く用いられており、フェムト秒レーザーを使用した高精度な装置が研究機関に導入されています。

まとめ

本記事では、熱伝導率の測定装置は?レーザーフラッシュ法・熱線法の原理と装置の種類も解説というテーマで、各測定手法の原理・装置構成・適用材料・注意点を詳しく解説しました。

熱伝導率の測定手法は一つではなく、試料の形状・材料の種類・測定温度・目的とする精度によって最適な手法が異なります。

レーザーフラッシュ法は高温・高熱伝導材料に強みを持ち、熱線法は粉体や液体など形状の自由度が高い材料に適しており、定常法は断熱材など低熱伝導率材料の標準的な評価に向いています。

それぞれの手法の原理をしっかりと理解することで、測定結果の正確な解釈や装置選定の精度向上につながるでしょう。

材料の熱設計・熱管理が求められるあらゆる産業分野において、熱伝導率測定技術の重要性は今後もますます高まっていくはずです。

本記事が、装置選びや測定手法の理解に役立てば幸いです。