積分の学習を進めていると、arctanxの積分という形に出会うことがあります。
arctanxの積分は部分積分を使うことで解くことができ、逆三角関数の積分の中でも重要な形として知られています。
この記事では、arctanxの積分公式とその導き方、部分積分を使った解き方、具体的なやり方まで丁寧に解説していきます。
arctanxの積分の公式はx・arctanx-(1/2)log(1+x²)+C
それではまず、arctanxの積分の公式について解説していきます。
∫arctanx dx=x・arctanx-(1/2)log(1+x²)+C(Cは積分定数)
x・arctanx-(1/2)log(1+x²)+Cという形は、部分積分を使うことで自然に導き出すことができます。
一見複雑に見えますが、部分積分の手順を丁寧に追うことで公式の形が理解できるでしょう。
微分して検算することで、公式が正しいことを確認することもできます。
公式の証明:部分積分を使った方法
arctanxの積分の証明は、部分積分法を使うことで導くことができます。
部分積分の公式:∫f'(x)g(x)dx=f(x)g(x)-∫f(x)g'(x)dx
f'(x)=1、g(x)=arctanxとおくと、
f(x)=x、g'(x)=1/(1+x²)
∫arctanx dx=x・arctanx-∫x・(1/(1+x²))dx
∫x/(1+x²)dx を求めます。t=1+x²とおくと dt=2x dx より x dx=dt/2
∫x/(1+x²)dx=∫(1/t)・(dt/2)=(1/2)log|t|+C=(1/2)log(1+x²)+C
(1+x²>0のため絶対値不要)
よって ∫arctanx dx=x・arctanx-(1/2)log(1+x²)+C
証明のポイントは、部分積分の後に現れる∫x/(1+x²)dxを置換積分で解く部分です。
t=1+x²とおくことで、f'(x)/f(x)型の積分として処理できます。
微分して検算する方法
積分の結果が正しいかどうかは、微分を逆算することで確認できます。
x・arctanx-(1/2)log(1+x²)を微分すると、
d/dx(x・arctanx)=arctanx+x・1/(1+x²)(積の微分)
d/dx((1/2)log(1+x²))=(1/2)・2x/(1+x²)=x/(1+x²)
合計するとarctanx+x/(1+x²)-x/(1+x²)=arctanx
もとの被積分関数arctanxに戻ることが確認できます。
このように微分して元に戻るかを確認する習慣をつけると、計算ミスを防ぐことができます。
x/(1+x²)の部分がきれいに打ち消し合う点が、この公式の美しさといえるでしょう。
部分積分の公式を選ぶコツ
部分積分では、f'(x)とg(x)の割り当てが重要です。
arctanxを含む積分では、arctanxをg(x)に割り当てるのが基本です。
理由:arctanxの微分は1/(1+x²)であり、微分した後に残る積分が扱いやすい形になるためです。
f'(x)=1(定数)にするのがポイントです。
逆三角関数を含む積分では、逆三角関数の部分をg(x)に割り当て、f'(x)=1とおくのが基本的な戦略です。
この考え方はarcsinxやarccosxの積分にも同様に応用できます。
arctanxの積分のやり方を整理しよう
続いては、arctanxの積分の具体的なやり方について整理していきます。
| 逆三角関数 | 積分結果 | 使用手法 |
|---|---|---|
| arcsinx | x・arcsinx+√(1-x²)+C | 部分積分+置換積分 |
| arccosx | x・arccosx-√(1-x²)+C | 部分積分+置換積分 |
| arctanx | x・arctanx-(1/2)log(1+x²)+C | 部分積分+置換積分 |
表から、逆三角関数の積分はすべて部分積分と置換積分の組み合わせで解けることがわかります。
arctanxの積分だけが対数関数を含む形になる点が、arcsinxやarccosxとの大きな違いです。
基本的な解き方の手順
arctanxの積分を解く際の基本的な手順を確認しましょう。
① 部分積分を適用する(f'(x)=1、g(x)=arctanxとおく)
② 残った∫x/(1+x²)dxを置換積分で解く(t=1+x²とおく)
③ 結果をまとめて積分定数Cを付ける
2段階の計算を丁寧に進めることで、確実に正しい答えを導き出すことができます。
途中の置換積分を正確に処理することが、計算ミスを防ぐ上で最も重要なポイントです。
置換積分の手順を丁寧に確認する
部分積分後に現れる∫x/(1+x²)dxの置換積分の手順を改めて確認しましょう。
∫x/(1+x²)dx において t=1+x²とおくと、
dt=2x dx より x dx=dt/2
∫x/(1+x²)dx=∫(1/t)・(dt/2)=(1/2)∫(1/t)dt
=(1/2)log|t|+C=(1/2)log(1+x²)+C
(1+x²>0のため絶対値不要)
t=1+x²とおく置換が分母と分子の関係から自然に見えてくることが大切です。
この置換積分の手順を確実に習得しておきましょう。
arctanxの積分の例題で理解を深めよう
続いては、実際の例題を通じてarctanxの積分の解き方を確認していきます。
例題①:基本的な不定積分
問題:∫arctanx dx を求めよ。
解答:部分積分より、
∫arctanx dx=x・arctanx-(1/2)log(1+x²)+C
この問題は公式をそのまま当てはめるだけで解くことができます。
積分定数Cを忘れずに記載しましょう。
例題②:係数を含む場合の積分
問題:∫3・arctanx dx を求めよ。
定数倍は積分の外に出せるため、
∫3・arctanx dx=3∫arctanx dx
=3(x・arctanx-(1/2)log(1+x²))+C
=3x・arctanx-(3/2)log(1+x²)+C
係数をそのまま外に出して計算を進めると、シンプルに解くことができます。
積分の線形性を積極的に活用しましょう。
例題③:定積分への応用
問題:∫[0→1]arctanx dx を求めよ。
∫arctanx dx=x・arctanx-(1/2)log(1+x²)より、
[x・arctanx-(1/2)log(1+x²)]のx=0からx=1までを計算します。
x=1のとき:1・arctan1-(1/2)log2=π/4-(1/2)log2
x=0のとき:0・arctan0-(1/2)log1=0-0=0
よって π/4-(1/2)log2
定積分では不定積分の結果に上端と下端の値を代入して差を求めます。
arctan1=π/4、log1=0であることを覚えておくと、計算がスムーズです。
まとめ
この記事では、arctanxの積分公式と証明、部分積分を使った解き方、例題について解説しました。
公式は∫arctanx dx=x・arctanx-(1/2)log(1+x²)+Cであり、部分積分と置換積分を組み合わせることで導くことができます。
部分積分ではf'(x)=1、g(x)=arctanxとおくことが基本的な戦略であり、この考え方はarcsinxやarccosxの積分にも応用できます。
途中の置換積分でt=1+x²とおくことが計算をスムーズに進める上でのポイントです。
公式の意味と証明の流れをしっかり理解した上で、さまざまな問題に取り組んでみてください。