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リスクアセスメントとは?意味や目的をわかりやすく解説(労働安全衛生法・化学物質・義務化・簡単に)

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職場の安全管理や企業のリスク管理の場面で「リスクアセスメント」という言葉を耳にすることが増えています。

リスクアセスメントは労働安全衛生法で義務化された重要な取り組みであり、化学物質を扱う職場をはじめあらゆる業種の企業に関係する概念です。

本記事では、リスクアセスメントの意味・目的・法律上の義務・具体的な対象・実施によるメリットについて、専門知識がなくてもわかりやすいように丁寧に解説していきます。

これからリスクアセスメントに取り組もうとしている担当者の方にとって参考になる内容をお届けします。

リスクアセスメントとは何か?基本的な意味と定義

それではまず、リスクアセスメントの基本的な意味と定義について解説していきます。

リスクアセスメント(Risk Assessment)とは、職場や業務に存在する危険源(ハザード)を特定し、そのリスクの大きさを評価・分析した上で、適切なリスク低減措置を検討・実施するための一連のプロセスのことです。

「リスク」とは「危険な事象が発生する可能性(確率)」と「その被害の重大性」の組み合わせで表現され、この二つの要素を組み合わせてリスクの大きさを定量的・定性的に評価します。

リスクアセスメントの目的

リスクアセスメントを実施する主な目的は、「労働者の安全と健康を守ること」および「労働災害・事故・健康障害を未然に防ぐこと」です。

問題が発生してから対処するのではなく、事前にリスクを予測・評価して対策を講じるという「予防的アプローチ」がリスクアセスメントの本質といえます。

リスクアセスメントによって職場の安全水準が向上するだけでなく、労働者が自分たちの職場のリスクを理解することで安全意識が高まるという副次的な効果も期待できます

リスクアセスメントの対象

リスクアセスメントの対象となる「危険源」には様々なものが含まれます。

・機械・設備・工具による危険(挟まれ・切断・墜落など)

・化学物質・有害物質による健康障害

・作業環境(騒音・振動・温度・照明など)

・作業方法・手順の問題(不自然な姿勢・過重労働など)

・人的要因(疲労・ヒューマンエラー・コミュニケーション不足など)

業種・業態によってリスクの内容は大きく異なりますが、どのような職場でもリスクアセスメントの対象となりうる危険源が存在します。

労働安全衛生法とリスクアセスメントの義務化

日本では2006年の労働安全衛生法改正により、すべての事業者にリスクアセスメントの実施が努力義務として規定されました。

さらに化学物質については2022年の法改正により、化学物質リスクアセスメントが一定の事業場で義務化され、労働者が化学物質のリスクにさらされる可能性のある業務についての評価が法的に求められるようになりました

特に特定化学物質・有機溶剤・粉じんなどを扱う製造業・建設業・医療機関などでは、法令遵守の観点からもリスクアセスメントへの対応が急務となっています。

リスクアセスメントの基本的な流れとステップ

続いては、リスクアセスメントの基本的な流れとステップを確認していきます。

リスクアセスメントは体系的なプロセスとして実施することが重要であり、一般的には5つのステップで構成されています。

ステップ1:危険源の特定

リスクアセスメントの第一ステップは、職場に存在するすべての危険源を洗い出すことです。

作業内容・使用機械・使用化学物質・作業環境・人の動線などを詳細に確認し、「どこに・どのような危険があるか」を漏れなくリストアップします。

作業者へのヒアリング・現場観察・ヒヤリハット事例の分析・過去の事故記録の参照などを組み合わせて行うことが効果的でしょう。

ステップ2:リスクの評価(見積もり)

特定した危険源ごとに「発生確率」と「被害の重大性」を組み合わせてリスクの大きさを評価します。

リスクの大きさはリスクマトリクスを使って視覚的に整理することが一般的であり、「高・中・低」などのレベルでランク付けすることでどのリスクを優先的に対処すべきかが明確になります。

リスクの評価は客観性を保つために複数の担当者で行うことが推奨されており、個人の主観だけに頼らない仕組みを整えることが重要です。

ステップ3:リスク低減措置の検討と実施

リスク評価の結果に基づいて、リスクを低減するための対策を検討・実施します。

リスク低減措置は「危険源の除去→設計変更→工学的対策→管理的対策→保護具の使用」という優先順位(リスク低減の階層)に従って検討することが国際的な基準でも推奨されています。

化学物質リスクアセスメントの特徴と実施方法

続いては、化学物質リスクアセスメントの特徴と実施方法を確認していきます。

2022年の法改正によって特に重要性が高まった化学物質リスクアセスメントについて、その特徴と具体的な実施方法を解説します。

化学物質リスクアセスメントの対象となる化学物質

労働安全衛生法に基づく化学物質リスクアセスメントは、GHS分類(国連の化学品分類)で危険性・有害性が確認された化学物質を対象とします。

2024年以降は対象物質がさらに拡大され、SDSの交付が義務付けられた化学物質を製造・取り扱う事業者はリスクアセスメントの実施が義務となっています。

SDSとは化学物質の成分・危険性・応急措置・取り扱い方法などを記載した安全データシートのことで、リスクアセスメントの基本情報として活用されます

CREATE-SIMPLEなどの活用ツール

化学物質リスクアセスメントの実施を支援するために、厚生労働省が提供する「CREATE-SIMPLE」などのリスクアセスメント支援ツールが利用できます。

化学物質の取り扱い量・揮発性・暴露状況などを入力することでリスクのレベルを自動的に計算してくれるため、専門知識が少ない担当者でも活用しやすいでしょう。

リスクアセスメント実施後の記録と見直し

リスクアセスメントは一度実施すれば終わりではなく、定期的な見直しと更新が必要です。

設備の変更・作業方法の変更・新しい化学物質の導入・事故やヒヤリハットの発生などをきっかけに、リスクアセスメントを再実施することが求められます。

また実施した内容・評価結果・対策措置を記録として残し、従業員への周知を徹底することも法令上重要な要件となっているでしょう。

まとめ

本記事では、リスクアセスメントの意味・目的・法律上の義務・基本的な流れ・化学物質リスクアセスメントの特徴について解説してきました。

リスクアセスメントとは職場の危険源を特定・評価し、リスク低減措置を講じるための体系的なプロセスであり、労働安全衛生法によってその実施が求められています。

リスクアセスメントを適切に実施することは、労働災害・事故・健康障害の予防だけでなく、職場全体の安全文化の醸成と法令遵守の両面で企業に大きなメリットをもたらします

まずは自社の業種・取り扱い物質・作業内容に合わせた形でリスクアセスメントに取り組んでみましょう。