電子部品設計において、誘電率は絶縁材料・基板材料の選定に直結する重要な物性値です。
本記事では、アルミナの誘電率の値・温度・周波数依存性・電子部品への応用を解説していきます。
アルミナの誘電率は「約9〜10(1 MHz)」でセラミック絶縁基板として広く使われる
それではまず、アルミナの誘電率の基本値を解説していきます。
アルミナの誘電特性(室温・1 MHz):比誘電率(εr):約9〜10・誘電損失(tan δ):約0.0002〜0.001(非常に小さい)・絶縁抵抗率:10¹³〜10¹⁴ Ω·cm(優れた絶縁体)・絶縁破壊電圧:約15〜20 kV/mm。高周波域でも比誘電率はほぼ一定で誘電損失が小さいため、高周波電子部品の基板材料として優秀。
他の絶縁材料との比較
主要絶縁材料の比誘電率比較(室温・1 MHz):
真空:1.0(基準)・PTFE(テフロン):2.1・ポリエチレン:2.3〜2.5
エポキシ樹脂:3〜5・シリカガラス(SiO₂):3.8〜4.5・窒化アルミニウム(AlN):8〜9
アルミナ(Al₂O₃):9〜10・ベリリア(BeO):6〜7・ジルコニア(ZrO₂):20〜25
チタン酸バリウム(BaTiO₃):1000〜10000(コンデンサ誘電体)
アルミナの誘電率9〜10は高周波回路基板としては適切な範囲であり、信号遅延の低減(低誘電率が有利)と小型化(高誘電率が有利)のバランスが取れています。
周波数・温度依存性
アルミナの誘電率は周波数の変化に対して非常に安定であり、1 MHz〜10 GHzの広い周波数範囲でほぼ一定の値を示します。
温度依存性も小さく(温度係数 約+10 ppm/℃)、高信頼性が求められる電子部品に適した特性です。
電子部品への応用
アルミナの優れた誘電特性と機械的強度・熱安定性を組み合わせたアルミナ多層基板は、マイクロ波・高周波モジュール・通信部品・車載電子部品に使われています。
低温同時焼成セラミック(LTCC)技術では、アルミナ系ガラスセラミックを使ってより複雑な多層回路を実現しています。
まとめ
本記事では、アルミナの誘電率(約9〜10)・誘電損失・他材料との比較・周波数安定性・電子部品への応用を解説してきました。
低誘電損失・高誘電率安定性というアルミナの電気特性は、高周波電子部品の基板・パッケージ材料として現代エレクトロニクスを支える重要な物性です。