「逆双曲線関数の微分って、どうやって求めるの?」という疑問は、双曲線関数の応用を学ぶ段階でよく出てくるものです。
逆双曲線関数の微分公式は対数表示から導出でき、積分公式としても非常に重要な役割を果たします。
本記事では、逆双曲線関数の微分公式と導出方法を、arsinh・arcosh・artanhの導関数・合成関数の微分・計算例とともに丁寧に解説していきます。
逆双曲線関数の微分は代数的なシンプルな形になる(結論)
それではまず、逆双曲線関数の微分公式の全体像と結論から解説していきます。
d/dx(arsinh x)=1/√(x²+1)(全実数)
d/dx(arcosh x)=1/√(x²−1)(x>1)
d/dx(artanh x)=1/(1−x²)(|x|<1)
d/dx(arcoth x)=1/(1−x²)(|x|>1)
逆三角関数(arcsin・arccos・arctan)の微分と形が似ており、特に arsinh x の微分が 1/√(x²+1) で arcsin x の微分 1/√(1−x²) と対応しています。
符号(x²に対するプラス・マイナス)の違いが、双曲線と円の違いを反映しています。
arsinh xの微分の導出(対数表示を利用)
arsinh x=log(x+√(x²+1)) を直接微分して導出します。
d/dx[log(x+√(x²+1))]
={1+x/√(x²+1)} / (x+√(x²+1))
={(√(x²+1)+x)/√(x²+1)} / (x+√(x²+1))
=1/√(x²+1) ✓
arsinh xの微分の導出(逆関数の微分を利用)
逆関数の微分定理を使う別の方法も確認しておきましょう。
y=arsinh x ならば sinh y=x
両辺をxで微分:cosh y・(dy/dx)=1
dy/dx=1/cosh y=1/√(sinh²y+1)=1/√(x²+1) ✓
(cosh²y=sinh²y+1=x²+1 を使用)
arcosh xの微分の導出
y=arcosh x ならば cosh y=x(y≧0)
両辺をxで微分:sinh y・(dy/dx)=1
dy/dx=1/sinh y=1/√(cosh²y−1)=1/√(x²−1) ✓
(sinh y>0を確認:y≧0のときsinh y≧0、かつx>1ならy>0なのでsinh y>0)
合成関数の微分への応用と計算例
続いては、合成関数の微分への応用と計算例を確認していきます。
合成関数の計算例
d/dx(arsinh(3x))={1/√((3x)²+1)}・3=3/√(9x²+1)
d/dx(arcosh(x²+1))={1/√((x²+1)²−1)}・2x=2x/√(x⁴+2x²)
d/dx(artanh(sin x))={1/(1−sin²x)}・cos x=cos x/cos²x=1/cos x=sec x
内側の関数の微分を外側にかける連鎖律の適用が正確にできるよう練習しておくことが重要です。
積分公式としての活用
逆双曲線関数の微分公式は積分公式として逆向きに活用されます。
| 積分 | 結果 |
|---|---|
| ∫1/√(x²+1) dx | arsinh x+C=log(x+√(x²+1))+C |
| ∫1/√(x²−1) dx | arcosh x+C=log(x+√(x²−1))+C(x>1) |
| ∫1/(1−x²) dx | artanh x+C=(1/2)log|(1+x)/(1−x)|+C(|x|<1) |
これらは高校数学・大学数学の積分計算で頻繁に登場する重要な公式です。
特に ∫1/√(x²+1) dx の形は、三角関数による置換(x=tan θ)でも計算できますが、arsinh xを使う方が計算が簡潔になることが多いです。
逆双曲線関数の微分:d/dx(arsinh x)=1/√(x²+1)、d/dx(arcosh x)=1/√(x²−1)、d/dx(artanh x)=1/(1−x²)。これらは逆関数の微分定理または対数表示の微分から導出できます。積分公式としての活用も非常に重要です。
まとめ
本記事では、逆双曲線関数の微分公式と導出方法を、対数表示を使う方法・逆関数の微分定理を使う方法の両面から解説し、合成関数への応用と積分公式としての活用まで紹介しました。
公式の形は比較的シンプルですが、導出過程を理解することで確実に記憶できます。
積分公式としての応用も含めて、逆双曲線関数の微分を有効に活用していただければ幸いです。