機械部品の図面では、形状や寸法だけでなく「表面の仕上げ状態(表面粗さ)」を正確に指定することも重要な要素です。
表面粗さが適切に指定されていないと、部品の機能・耐久性・外観品質に影響が生じることがあります。
本記事では、表面粗さの意味・JIS規格に基づく記号・指定方法について、Raを中心にわかりやすく解説していきます。
機械設計・加工・品質管理に携わる方にとって必須の知識ですので、ぜひ参考にしてください。
表面粗さとは何か?基本的な概念と主なパラメータ
それではまず、表面粗さの基本的な概念と主なパラメータについて解説していきます。
表面粗さとは、加工面の微細な凹凸(表面の起伏)の大きさを数値で表したもので、JIS B 0601によって定義されています。
表面粗さの値が小さいほど滑らかな表面を、大きいほど粗い表面を意味します。
主な表面粗さパラメータ:
Ra(算術平均粗さ):最も一般的に使われる指標。凹凸の平均的な高さ
Rz(最大高さ粗さ):凹凸の最高点と最低点の差(粗さ曲線の最大高さ)
Rmax(最大粗さ):旧JIS規格の指標(現在はRzに統合)
現在のJIS規格ではRaが最も標準的な指標として広く使われており、多くの機械図面でRaが指定されています。
表面粗さの代表的な値と仕上げ状態
| Ra値(μm) | 仕上げの状態 | 加工方法の例 |
|---|---|---|
| Ra 50〜100 | 非常に粗い | 鋳造・鍛造のままの面 |
| Ra 6.3〜25 | 粗仕上げ | 旋削・フライス加工(荒加工) |
| Ra 1.6〜3.2 | 並仕上げ | 旋削・フライス加工(仕上げ) |
| Ra 0.4〜0.8 | 精密仕上げ | 研削加工・ラッピング |
| Ra 0.1以下 | 超精密仕上げ | 超精密研削・ポリッシュ |
Ra値が小さいほど加工コストが高くなりますので、機能上必要十分な値を指定することが設計のポイントです。
表面粗さ記号の書き方と指定方法
続いては、JIS規格に基づく表面粗さ記号の書き方と指定方法について確認していきます。
現行のJIS B 0031に基づく表面性状の図示記号は√マーク(チェックマーク)を基本形として表面粗さを指定します。
表面粗さ記号の基本形
基本の表面粗さ記号:
√(除去加工:切削・研削などによる仕上げを要求)
円付き√(除去加工禁止:素材のまま、または非切削加工)
a値(Ra値)は√の上部に記入する
例:Ra 1.6 の指定 → √の上部に「Ra 1.6」または「1.6」と記入
旧JIS規格では▽(三角マーク)を使った仕上げ記号が使われていましたが、現行規格では√記号に移行しています。
旧規格の▽記号との対応は、▽▽▽(最精密)・▽▽(精密)・▽(並仕上げ)という形です。
表面粗さ記号の記入位置
表面粗さ記号は対象の面を表す線(外形線・断面線)またはその延長線上に、記号が面の外側を向くように記入します。
同じ面の異なる箇所に複数の粗さを指定する場合は、それぞれの箇所に記号を記入します。
部品全体に同一の表面粗さを指定する場合は、図面の表題欄付近に「(Ra 3.2)」のように全面指定を記入することもあります。
表面粗さ指定のポイント
表面粗さを指定する際の実践的なポイントをまとめると次の通りです。
機能面(摺動面・嵌め合い面・シール面など)には適切な粗さを指定し、機能に関係ない面は粗さ指定を省略するか粗い値を指定します。
Ra値が過剰に小さい値を指定すると加工コストが増大しますので、機能要件を満たす最小限の精度を指定することが設計の重要な判断です。
まとめ
本記事では、表面粗さの意味・主なパラメータ・JIS規格に基づく記号と指定方法について解説しました。
Ra(算術平均粗さ)は最も一般的に使われる表面粗さ指標であり、値が小さいほど滑らかな仕上げを意味します。
現行JIS規格では√記号を使って表面粗さを指定し、対象面の外形線または延長線上に記入します。
機能上必要十分な表面粗さ値を指定することが、品質とコストのバランスを保つ設計のポイントです。