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プランク定数バーとは?hとh/2πの違いも!(換算プランク定数:角振動数:量子力学:表記法:使い分けなど)

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量子力学の教科書や論文で「ℏ(エイチバー)」という記号を目にしたことはあるでしょうか。

ℏはプランク定数hを2πで割った「換算プランク定数」であり、現代の量子力学では通常のhよりもむしろℏのほうが頻繁に登場します

本記事では、プランク定数バー(ℏ)の定義・読み方・数値から、hとℏの違いと使い分け、角振動数との関係、量子力学における役割まで詳しく解説します。

ℏの意味を正確に理解することで、量子力学の公式がより深く読み解けるようになるでしょう。

プランク定数バー(ℏ)とは何か?定義と読み方

それではまず、プランク定数バー(ℏ)の定義と読み方について解説していきます。

「ℏ」は英語で「h-bar(エイチバー)」と呼ばれ、日本語では「換算プランク定数」または「ディラック定数」とも称されます。

換算プランク定数の定義:

ℏ = h / 2π

h:プランク定数(6.62607015 × 10⁻³⁴ J·s)

2π ≈ 6.2832

ℏ ≈ 1.054571817 × 10⁻³⁴ J·s

単位・次元はhと同じ(J·s = kg·m²·s⁻¹)

名称の「バー」は、記号の「ℏ」がhの文字に横棒(バー)を加えた形であることに由来しています。

また「ディラック定数」という別名は、量子力学の発展に大きく貢献したイギリスの物理学者ポール・ディラック(Paul Dirac)に由来します。

なぜ2πで割るのか?

プランク定数hを2πで割ってℏを作る理由は、量子力学の式を書くときに振動数νよりも角振動数ω(オメガ)のほうが自然に現れる場面が多いためです。

振動数νと角振動数ωの関係:

ω = 2πν(角振動数:ラジアン毎秒)

E = hν = h × (ω/2π) = (h/2π) × ω = ℏω

→ νを使うと2πが分母に残るが、ωを使うとℏで式がすっきり書ける

数学的な美しさと計算の簡潔さのために、現代の量子力学ではℏとωの組み合わせが好まれるようになりました。

ディラックがこの表記を導入したことで、量子力学の式は大幅にシンプルになりました

ℏの数値と単位

ℏの数値はh/2πで計算できます。

定数 記号 数値 単位
プランク定数 h 6.62607015 × 10⁻³⁴ J·s
換算プランク定数 1.054571817 × 10⁻³⁴ J·s
ℏ(eV換算) 6.582119569 × 10⁻¹⁶ eV·s

hとℏの使い分けと重要公式

続いては、hとℏの使い分けと各分野での重要公式を確認していきます。

hを使う公式の例

プランク定数hは振動数νを使った公式で登場することが多いです。

hを使う主な公式:

①光子エネルギー:E = hν(ν:振動数)

②波長エネルギー:E = hc/λ(λ:波長、c:光速)

③ド・ブロイ波長:λ = h/p(p:運動量)

④プランクの放射公式:B(ν,T) = (2hν³/c²) × 1/(exp(hν/kT)-1)

ℏを使う公式の例

換算プランク定数ℏは角振動数ωを使った公式や、量子力学の基本方程式で登場します。

ℏを使う主な公式:

①光子エネルギー:E = ℏω(ω:角振動数)

②不確定性原理:Δx · Δp ≥ ℏ/2

③シュレーディンガー方程式:iℏ ∂ψ/∂t = Ĥψ

④ボーアの量子条件:L = nℏ(L:角運動量、n:量子数)

⑤量子調和振動子のエネルギー:Eₙ = (n+1/2)ℏω

現代の量子力学の教科書では、ℏはhよりも圧倒的に多く登場します。量子力学を本格的に学ぶ際はℏの方に慣れておくことが重要です。

不確定性原理におけるℏの役割

ハイゼンベルクの不確定性原理は、自然界に存在する本質的な不確定性の下限を規定します。

ハイゼンベルクの不確定性原理:

Δx · Δp ≥ ℏ/2(位置と運動量)

ΔE · Δt ≥ ℏ/2(エネルギーと時間)

→ ℏが自然界の「あいまいさの最小単位」を決定している

もしℏがゼロであれば不確定性原理は消え、古典力学の世界に戻ってしまいます。

ℏの存在こそが量子の世界を量子たらしめている根拠といえるでしょう。

量子力学の主要分野でのℏの登場

続いては、量子力学の主要分野においてℏがどのように登場するかを確認していきます。

量子調和振動子とℏ

量子調和振動子(バネに繋がれた粒子の量子力学版)のエネルギー準位は、ℏωを単位として量子化されます。

量子調和振動子のエネルギー:

Eₙ = (n + 1/2)ℏω(n = 0, 1, 2, …)

→ n=0でも E₀ = ℏω/2 という「ゼロ点エネルギー」が存在する

(絶対零度でもエネルギーはゼロにならない!)

ゼロ点エネルギーの存在は純粋に量子効果であり、古典力学では説明できない現象です。

スピンとℏ

素粒子が持つ「スピン角運動量」もℏを単位として量子化されています。

電子のスピンは±ℏ/2という値しか取れず、光子のスピンは±ℏです。

スピンはℏを単位とした量子化された角運動量であり、磁気モーメントやMRI技術の根底にある量子効果です。

自然単位系でのℏ = 1

素粒子物理学や量子重力の分野では、ℏ = c = 1とおく「自然単位系」を使うことで計算を大幅に簡略化します。

この単位系では式からℏとcが消え、質量・エネルギー・運動量がすべてeV(電子ボルト)という同一の単位で表せるようになります。

まとめ

プランク定数バー(ℏ)はプランク定数hを2πで割った換算プランク定数であり、ℏ ≈ 1.055 × 10⁻³⁴ J·sという値を持ちます。

hが振動数νと組み合わさる公式(E = hν等)で使われるのに対し、ℏは角振動数ωと組み合わさる公式(E = ℏω等)や、シュレーディンガー方程式・不確定性原理・ボーアの量子条件などの基本方程式で使われます。

現代の量子力学ではhよりℏが圧倒的に多用されるため、両者の関係と使い分けをしっかり理解しておくことが量子力学学習の重要なポイントとなるでしょう。