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全単射の逆写像とは?存在条件や求め方も!(逆関数・逆写像の一意性・全単射写像・証明など)

全単射の逆写像の意味
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全単射と逆写像は、集合と写像を学ぶうえで中心となる考え方です。

関数を一度適用した結果から、元の要素を正確に一つだけ復元できるかどうかを扱うため、数学の証明問題だけでなく、暗号、情報処理、座標変換などにもつながります。

ただし、すべての写像に逆写像があるわけではありません。

逆写像が存在するためには、写像が全射かつ単射である全単射になっている必要があります。

この記事では、全単射の逆写像の意味、存在条件、求め方、逆写像の一意性、証明で確認すべき点を順に整理します。

全単射の逆写像の意味

全単射の逆写像の意味

それではまず、全単射の逆写像について解説していきます。

逆写像と逆関数の基本関係

集合Aから集合Bへの写像をfとします。

fによってAの要素xがBの要素yへ移されるとき、yはf(x)と表せます。

この対応を反対向きにたどり、Bの要素yからAの要素xを返す写像が逆写像です。

逆写像は一般にfのマイナス1乗を用いてf−1と表します。

ここで注意したいのは、f−1が数の逆数を意味するわけではない点です。

写像としての対応を元に戻す操作を示す記号であり、値そのものを割り算する記号ではありません。

f(x)=yであるとき、逆写像f−1はf−1(y)=xを満たします。

つまり、先にfを適用してからf−1を適用すると、出発したxへ戻ります。

実数の範囲で考える関数では、逆写像を逆関数と呼ぶことが多いでしょう。

たとえばf(x)=2x+3なら、xを2倍して3を加える関数です。

元に戻すには先に3を引き、その後で2で割ればよいため、逆関数はf−1(y)=(y−3)÷2となります。

逆写像は、対応を単純に矢印の向きだけ変えたものではありません。

反対向きにしても各要素に値が一つだけ決まる写像になっていることが必要です。

この条件を満たすかどうかが、全単射という概念と深く結び付きます。

合成写像による定義

逆写像は合成写像を使うと正確に定義できます。

fがAからBへの写像であり、gがBからAへの写像であるとします。

gがfの逆写像であるためには、fを適用してからgを適用した結果と、gを適用してからfを適用した結果の両方が、それぞれ元の要素に戻らなければなりません。

g∘fはA上の恒等写像になります。

f∘gはB上の恒等写像になります。

この二つを同時に満たすgが、fの逆写像です。

恒等写像とは、どの要素も自分自身へ移す写像です。

Aの任意のxについてxをxへ移し、Bの任意のyについてyをyへ移す対応を指します。

この見方を使うと、逆写像があるという事実は、往復しても情報が失われないことを意味すると分かります。

片方の合成だけが恒等写像になるケースもあります。

たとえばg∘fが恒等写像なら、fは少なくとも単射です。

一方、f∘gが恒等写像なら、fは少なくとも全射になります。

逆写像として扱うには、二方向の合成が恒等写像になることを確認する必要があります。

全単射との対応

全単射とは、単射と全射の性質をあわせ持つ写像です。

単射は、異なる入力が同じ出力へ重ならない対応をいいます。

全射は、終域にあるすべての要素が少なくとも一つの入力から到達される対応です。

この二つがそろうと、終域の各要素には対応する始域の要素がちょうど一つ存在します。

性質 確認する内容 逆写像との関係
単射 同じ値に移る入力は同じ要素である 元の要素が一つに定まる
全射 終域のすべての要素に原像がある どの要素からも戻り始められる
全単射 単射と全射を両方満たす 逆写像が存在する

全単射では、Bの任意の要素yに対して、f(x)=yとなるxがただ一つ存在します。

この唯一のxをf−1(y)と定めれば、BからAへの写像が作れます。

したがって、逆写像をもつ写像と全単射である写像は同じ条件を表すといえます。

写像fが逆写像をもつための必要十分条件は、fが全単射であることです。

単射だけ、あるいは全射だけでは、一般に逆写像は定まりません。

逆写像の存在条件

続いては、逆写像が存在する条件を確認していきます。

単射が必要となる理由

単射でない写像では、別々の要素が同じ値へ移ります。

その状態では、出力だけを見ても、どの入力から来たのかを一つに決められません。

そのため、反対向きの対応を写像として定義できなくなります。

たとえば集合Aを1、2、3とし、集合Bをa、bとします。

fが1をaへ、2をaへ、3をbへ移すと考えます。

aから元へ戻ろうとすると、1へ戻すべきか2へ戻すべきかが決まりません。

一つの要素aに対して値が二つ候補になるため、これは写像ではありません。

f(x1)=f(x2)ならx1=x2となるとき、fは単射です。

逆写像の値を一意に定めるには、この条件が欠かせません。

単射性は、グラフで見ると水平線との交わり方でも判断できます。

実数関数のグラフに任意の水平線を引いたとき、交点が高々一つなら単射です。

ただし、これは実数値関数を図で考えるときの判断法であり、一般の集合の写像では定義に戻って確認します。

全射が必要となる理由

全射でない写像では、終域に使われない要素が残ります。

その要素には元となる入力が存在しないため、逆向きの対応を定義できません。

逆写像は終域全体から始域全体への写像であるため、終域の要素を一つも取り残せない点が重要です。

たとえば集合Aを1、2とし、集合Bをa、b、cとします。

fが1をaへ、2をbへ移すなら、cへ移る要素はありません。

cに対してf−1(c)を考えても、対応する要素を選べないでしょう。

このためfは全射ではなく、Bを終域とする逆写像をもちません。

ここで終域と値域を区別することが大切です。

値域は実際に出力として現れた要素の集合であり、終域はあらかじめ到達先として設定した集合です。

同じ規則でも、終域の取り方が変わると全射性と逆写像の有無が変化します。

逆写像の存在を判断するときは、式だけでなく始域と終域を必ず確認します。

特に全射性は、終域をどの集合に定めたかで決まります。

必要十分条件の証明方針

全単射なら逆写像が存在することを示すには、終域の各要素について原像を選びます。

全射性によって原像が少なくとも一つ存在し、単射性によってその原像が一つに絞られます。

そこでBの各要素yに対し、f(x)=yとなる唯一のxを対応させれば、f−1が定義できます。

反対に逆写像が存在すると仮定した場合は、合成写像を利用すると分かりやすくなります。

f−1∘fが恒等写像であることから単射性を導けます。

また、f∘f−1が恒等写像であることから全射性を導けます。

証明では、存在と一意性を分けて書くと論理が整います。

全射性で存在を示し、単射性で一意性を示す流れです。

この組み合わせが、全単射から逆写像を構成する基本の形になります。

逆写像の求め方

続いては、式や対応表から逆写像を求める方法を確認していきます。

一次関数からの求め方

一次関数は、逆関数の求め方を学ぶ最初の例としてよく使われます。

f(x)=ax+bにおいてaが0でなければ、実数全体から実数全体への全単射になります。

xを求める形へ変形し、最後に変数名を入れ替えることで逆関数が得られます。

y=3x−6とおきます。

3x=y+6より、x=(y+6)÷3です。

したがってf−1(x)=(x+6)÷3となります。

確認として、元の関数と逆関数を合成してみるとよいでしょう。

f−1(f(x))にf(x)=3x−6を代入すると、(3x−6+6)÷3=xとなります。

反対の順序でも同様に元の値へ戻るため、求めた式が正しいと判断できます。

係数aが0の場合、f(x)=bは定数関数です。

入力が何であっても同じ値になり、単射ではありません。

そのため、全実数上では逆関数をもちません。

二次関数と定義域の制限

二次関数は、実数全体では一般に逆関数をもちません。

たとえばf(x)=x2では、2と−2がともに4へ移るため、単射にならないからです。

しかし、定義域を0以上に限定すれば、x2は単射になります。

定義域を0以上、終域を0以上としたf(x)=x2は全単射です。

このとき逆関数は、f−1(x)=√xとなります。

定義域を0以下に限定するなら、逆関数はf−1(x)=−√xです。

元の写像 定義域 逆写像 注意点
x2 実数全体 存在しない 2と−2が重なる
x2 0以上 √x 終域も0以上にする
x2 0以下 −√x 符号の選択に注意する

この例から分かる通り、同じ式であっても定義域を調整すると逆写像をもつ場合があります。

逆写像は式の形だけでなく、どの集合間の写像かによって決まる点を押さえましょう。

対応表と有限集合での求め方

有限集合の写像では、対応表を作ると逆写像を確認しやすくなります。

始域の各要素と終域の各要素を並べ、矢印の対応を記録します。

すべての終域要素が一度ずつ現れていれば、その表の左右を入れ替えるだけで逆写像の表になります。

Aの要素 fによる像 Bの要素 f−1による像
1 a a 1
2 c b 3
3 b c 2

この表では、fは1をaへ、2をcへ、3をbへ移します。

逆写像はaを1へ、bを3へ、cを2へ移す対応です。

各列で要素の重複や不足がないかを見れば、全単射かどうかも判断できます。

有限集合で要素数が同じ場合、単射であることを示せば全射も成り立ちます。

逆に全射であることを示しても単射が成り立ちますが、始域と終域が有限で同じ要素数である場合に限られます。

逆写像の一意性

続いては、逆写像が一つしか定まらない理由を確認していきます。

一意性が意味する内容

全単射fに対する逆写像は、複数存在することがありません。

ここでいう一意性とは、逆写像の候補が二つあったとしても、それらはすべての要素に対して同じ値をとることを意味します。

したがって、全単射には対応する逆写像がちょうど一つ存在します。

直感的には、終域の各要素には元の要素が一つだけあるためです。

たとえばyがf(x)として得られたとき、xが唯一なら、yから戻る先を別に選ぶ余地がありません。

この一意性があるからこそ、f−1という記号を明確に使えます。

単射性がなければ戻り先が複数になり、全射性がなければ戻り先が存在しない要素が生まれます。

全単射は、存在と一意性の両方を同時に保証する条件です。

合成写像を用いた証明

gとhがともにfの逆写像であると仮定します。

このときgはg∘fが恒等写像となり、hはf∘hが恒等写像となる性質をもちます。

合成写像の結合法則を使うと、gとhが等しいことを示せます。

g=g∘恒等写像と考えます。

hが逆写像であるため、恒等写像をf∘hに置き換えられます。

するとg=g∘(f∘h)=(g∘f)∘h=恒等写像∘h=hとなります。

途中では合成の順序を入れ替えていない点が重要です。

写像の合成は一般に交換できません。

結合法則だけを使い、括弧の位置を変えて計算を進めます。

この証明は短く見えますが、逆写像の定義と合成写像の性質が凝縮されています。

答案では、どの恒等写像がどの集合上のものかを意識すると、記述の誤りを減らせるでしょう。

左逆写像と右逆写像の違い

逆写像の周辺には、左逆写像と右逆写像という用語もあります。

g∘fが恒等写像となる場合、gはfの左逆写像と呼ばれます。

一方でf∘gが恒等写像となる場合、gはfの右逆写像です。

呼び方 満たす合成 fから分かる性質
左逆写像 g∘fが恒等写像 fは単射
右逆写像 f∘gが恒等写像 fは全射
逆写像 両方が恒等写像 fは全単射

一般の集合では、左逆写像の存在と右逆写像の存在は別々に考えられます。

しかし同じ写像gが両方の条件を満たすなら、gはfの逆写像です。

単射と全射を合成写像の式へ読み替えると、抽象的な証明を整理しやすくなります。

全単射写像の証明

続いては、全単射写像と逆写像を証明する際の考え方を確認していきます。

単射性を示す手順

単射性を示す基本形は、f(x1)=f(x2)と仮定して、x1=x2を導く方法です。

一次関数や多項式では、両辺を変形して入力同士が等しいことを示します。

より一般的な写像では、定義から異なる二要素が同じ像をもたないことを確認します。

たとえばf(x)=5x−1であれば、f(x1)=f(x2)から5x1−1=5x2−1が得られます。

両辺に1を加え、5で割ればx1=x2です。

このように係数が0でない一次関数は、実数全体で単射になります。

単射の証明で、異なる入力を置いて異なる出力になると書くだけでは不十分な場合があります。

なぜ異なる出力になるのかを、式変形や単調性などで具体的に補う必要があります。

特に平方や絶対値を含む関数では、定義域の条件を見落とさないよう注意しましょう。

全射性を示す手順

全射性を示すには、終域の任意の要素yを取ります。

次にf(x)=yを満たす始域の要素xを実際に見つけ、そのxが始域に含まれることまで確かめます。

単に方程式が解けるだけでは足りず、定義域の条件を満たすことが必要です。

f(x)=5x−1を実数全体から実数全体への写像とします。

任意の実数yに対し、x=(y+1)÷5とおけばf(x)=yです。

xも実数なので、すべてのyに原像があり、fは全射と分かります。

一方、f(x)=exを実数全体から実数全体への写像とした場合、負の実数や0は出力されません。

そのため実数全体を終域とするなら全射ではありません。

終域を正の実数全体にすれば全射となり、逆関数として自然対数を考えられます。

全射性の証明では、終域の任意の要素から出発する流れを守ります。

始域の任意の要素から出発する議論は、単射性や写像の定義の確認と混同しやすいため注意が必要です。

逆写像を直接示す手順

逆写像の候補gを求めた後は、二つの合成を計算して確認します。

g(f(x))=xが始域のすべてのxで成り立つこと、f(g(y))=yが終域のすべてのyで成り立つことを示せば十分です。

この方法は、全射と単射を別々に証明するより短く書ける場合があります。

ただし、候補gの定義域と終域が正しいことも確認しましょう。

式だけ合っていても、平方根の符号や対数の定義域を誤ると、写像として成立しないことがあります。

逆写像の証明は合成結果と集合の範囲をセットで確認することが大切です。

証明問題では、問題文に始域と終域が明記されているかを最初に見る習慣をつけるとよいでしょう。

明記されていない場合でも、式が意味をもつ範囲と、値が到達する範囲を推測してから議論を組み立てます。

全単射の逆写像のまとめ

全単射の逆写像について、最後に重要な点をまとめます。

逆写像とは、写像fによって移された要素を元の要素へ戻す写像です。

fが逆写像をもつための必要十分条件は、fが単射と全射を兼ね備えた全単射であることになります。

単射性は戻り先が一つに決まることを、全射性は終域のどの要素からも戻れることを保証します。

逆写像を求める際は、式をxについて解くだけで終わらせず、定義域と終域を確認してください。

求めた後に二つの合成写像が恒等写像になることを確かめれば、逆写像として正しいと判断できます。

また、逆写像は一意です。

二つの候補があるように見えても、合成写像の性質を使えば必ず同じ写像であることを示せます。

全単射、逆関数、逆写像の一意性、合成写像を一つの流れとして理解すると、写像に関する問題をより確実に解けるようになるでしょう。