1/xの微分は、分数関数を学ぶ際に必ず押さえたい基本項目です。
分母に文字がある式を見ると難しく感じるかもしれませんが、指数の形に直して考えると計算の流れが見えやすくなります。
この記事では、1/xの導関数、公式の使い分け、具体的な計算例、定義域で注意したい点まで順を追って説明します。
結論だけでなく、なぜその答えになるのかを理解できるように整理していきましょう。
1/xの微分公式と計算結果

それではまず1/xの微分公式と、求められる計算結果について解説していきます。
1/xを微分した答え
関数y=1/xをxについて微分すると、答えはy’=-1/x²となります。
つまり、xの逆数を表す1/xの傾きは、xの二乗に反比例し、符号は必ずマイナスになります。
y=1/x
y’=-1/x²
たとえばx=2での傾きを考えると、導関数に2を代入して-1/4です。
グラフ上では、x=2付近でxが少し増えるほどy=1/xの値が下がるため、傾きが負になることとも一致します。
1/xの微分では、分子の1ではなく分母のxの変化に注目することが重要です。
マイナスが付く理由
1/xは、xが大きくなるほど値が小さくなる関数です。
正の範囲ではxが1から2、2から3へと増えるにつれて、1/xは1、1/2、1/3と減少していきます。
関数が右へ進むほど下がっていく部分では、接線の傾きは負になります。
この変化の方向が、導関数に付くマイナス記号の意味です。
ただしxが負の範囲でも、導関数-1/x²は負の値になります。
x²はxが正でも負でも正になるため、分母が正となり、先頭のマイナスだけが残るからです。
公式として覚える形
1/xの微分は、基本公式としてそのまま覚えてもよい内容です。
一方で、丸暗記だけでは分子や指数が変わった問題で迷いやすくなります。
そのため、1/x=x⁻¹と変形し、指数関数の微分公式へつなげる考え方も一緒に覚えると便利でしょう。
1/xの微分公式は、(1/x)’=-1/x²です。
分数を負の指数へ直せば、(x⁻¹)’=-1×x⁻²となり、同じ答えを得られます。
この変形を自然に行えるようになると、1/x²や1/x³といった分数関数の微分にも対応しやすくなります。
負の指数を使った微分方法
続いては、負の指数を使って1/xを微分する方法を確認していきます。
分数を指数の形へ変換
分数関数の微分では、まず分母にある文字を負の指数として表す方法が役立ちます。
1/xはx⁻¹、1/x²はx⁻²、1/x³はx⁻³と書き換えられます。
この表現にすると、べき乗の微分公式をそのまま使えます。
| 分数の形 | 指数の形 | 微分後 |
|---|---|---|
| 1/x | x⁻¹ | -x⁻² |
| 1/x² | x⁻² | -2x⁻³ |
| 1/x³ | x⁻³ | -3x⁻⁴ |
| 1/x⁴ | x⁻⁴ | -4x⁻⁵ |
分数のまま計算するより、最初に負の指数へ直すほうが符号と指数の変化を追いやすい場面は少なくありません。
べき乗の微分公式の適用
べき乗の微分公式は、xⁿを微分するとnxⁿ⁻¹になるというものです。
ここでnは正の整数に限らず、負の数や分数でも扱えます。
(xⁿ)’=nxⁿ⁻¹
(x⁻¹)’=-1×x⁻¹⁻¹
=-x⁻²
=-1/x²
指数-1に対して公式を使うと、係数として-1が前に出ます。
さらに指数は-1から1を引くため-2となり、-x⁻²が得られます。
この計算では、指数を一つ減らす操作を忘れないことが大切です。
符号と指数で起こりやすい間違い
1/xの微分で多い誤りは、答えを1/x²としてしまうケースです。
これはx²への変化には気付いていても、指数-1から生じるマイナスを落としている状態です。
また、-1/x²を-1/xと混同することもあります。
微分後は分母の指数が二乗になるので、元の関数と形が変わります。
1/xをx⁻¹と書いたら、係数の-1と新しい指数の-2を別々に確認します。
符号だけ、または指数だけを見るのではなく、二つを順番に処理することが計算ミスの防止につながります。
商の微分法による計算手順
続いては、商の微分法を使って1/xを求める計算手順を確認していきます。
商の微分公式の基本
分数の関数は、商の微分法でも計算できます。
分子をf(x)、分母をg(x)とすると、f(x)/g(x)の微分は、分母の二乗を使った形で表せます。
{f(x)/g(x)}’={f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}/g(x)²
式の見た目は少し複雑ですが、分子を微分した項と分母を微分した項を順に代入すれば計算できます。
分数関数が和や積を含む場合には、負の指数への変形より商の微分法が見通しよくなることもあります。
1/xへの代入
1/xでは、分子をf(x)=1、分母をg(x)=xと考えます。
定数1の微分は0であり、xの微分は1です。
これらを商の微分公式へ代入すると、分子は0×x-1×1となります。
(1/x)’={0×x-1×1}/x²
=-1/x²
負の指数を使った場合と同じ答えになりました。
計算方法は異なっても、関数の変化率は一つに決まるためです。
複数の方法で同じ答えを確認できることは、微分の理解を深めるうえで大きな助けになります。
商の微分法を選ぶ場面
1/xだけなら、x⁻¹と変形する方法が短くて扱いやすいでしょう。
ただし、(x+1)/(x-2)のように分子と分母のどちらにもxが含まれる式では、商の微分法が有効です。
たとえば分母だけでなく分子にも変化があるため、単純に負の指数へ直すだけでは計算が長くなりやすいからです。
| 関数の例 | 考えやすい方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 1/x | 負の指数 | すぐにx⁻¹へ変形できるため |
| 3/x² | 負の指数 | 係数と指数をまとめて扱えるため |
| (x+1)/x | 変形または商の微分法 | 1+1/xへ分解できるため |
| (x²+1)/(x-1) | 商の微分法 | 分子と分母の両方が変化するため |
問題の形を見て、最も短く安全に計算できる方法を選ぶ意識が大切です。
分数関数の導関数と計算例
続いては、分数関数の導関数と具体的な計算例を確認していきます。
係数を含む1/xの微分
y=3/xのように分子に定数がある場合は、定数倍の微分法を使います。
定数3はそのまま残し、1/xだけを微分すればよい形です。
y=3/x=3x⁻¹
y’=3×(-x⁻²)
=-3/x²
同じ考え方で、-5/xを微分すると5/x²になります。
元の係数が-5であり、1/xの微分でさらにマイナスが掛かるため、答えは正になります。
係数の符号と微分で生じる符号を掛け合わせることがポイントです。
分母が二乗や三乗の計算
y=1/x²はx⁻²と表せます。
べき乗の微分公式を使うと、-2x⁻³となるため、答えは-2/x³です。
y=1/x³であれば、微分後は-3/x⁴になります。
分母の指数が一つ増え、前に元の指数に対応する係数が付く流れを確認しましょう。
| 元の関数 | 導関数 | 計算の要点 |
|---|---|---|
| 1/x | -1/x² | 指数-1を微分 |
| 2/x² | -4/x³ | 2×-2 |
| -4/x³ | 12/x⁴ | -4×-3 |
| 7/x⁵ | -35/x⁶ | 7×-5 |
分母の指数が大きくなるほど、xが大きい範囲では導関数の絶対値が小さくなりやすい特徴もあります。
和と差を含む関数の計算
分数関数に多項式が加わっている場合は、項ごとに微分します。
たとえばy=x²+1/xでは、x²と1/xをそれぞれ微分すれば十分です。
y=x²+1/x
y’=2x-1/x²
また、y=4x-2/x²なら、-2/x²を-2x⁻²と直して微分します。
導関数は4+4/x³です。
途中で分数を無理に一つへまとめなくても、項別に処理するほうが計算は見やすくなります。
和や差を含む分数関数では、各項を分けて微分してから必要に応じて整理します。
最初から通分すると式が長くなり、符号の取り違えが起こりやすくなります。
接線の傾きとグラフの特徴
続いては、1/xの接線の傾きとグラフの特徴を確認していきます。
xが正の範囲での変化
xが正のとき、y=1/xのグラフは第一象限に位置します。
xが大きくなるにつれてyは0へ近付き、グラフは右下がりになります。
導関数-1/x²は常に負なので、正の範囲ではどの点でも減少していることが分かります。
たとえばx=1では導関数は-1、x=2では-1/4、x=4では-1/16です。
xが大きくなるほど接線の傾きの絶対値は小さくなるため、グラフは横軸にゆっくり近付いていきます。
xが負の範囲での変化
xが負のとき、y=1/xのグラフは第三象限にあります。
この範囲でも導関数は-1/x²であり、負の値です。
したがって、xが-4から-2、-2から-1へ増えるとき、関数の値は-1/4、-1/2、-1と下がっていきます。
負の数同士の大小関係に慣れていないと混乱しやすい部分でしょう。
数直線の右向きがxの増加であり、グラフの高さが下がるなら傾きは負と考えると整理できます。
漸近線と定義できない点
y=1/xでは、x=0を代入できません。
分母が0になるため、関数そのものが定義されないからです。
そのためグラフはy軸と交わらず、x=0を境に二つの枝へ分かれます。
またxが非常に大きい正の値または負の値になると、yは0へ近付きますが、通常は0になりません。
このように近付いても交わりにくい線を漸近線と呼び、y=1/xではx=0とy=0が代表的な漸近線です。
微分計算では答えだけでなく、元の関数の定義域も必ず確認しておきましょう。
定義域と応用問題の注意点
続いては、定義域と応用問題で注意したい点を確認していきます。
x=0を除く定義域
y=1/xも、その導関数-1/x²も、x=0では定義されません。
導関数を求める問題では、式変形の途中でx=0という条件が見えにくくなることがあります。
しかし分母にxが残っている以上、0を入れられないことは変わりません。
解答に定義域まで求める指定がある場合は、x≠0と明記するとよいでしょう。
特にグラフ、増減、接線の問題では、この条件が解釈に関わります。
合成関数での微分
1/xの形が、より複雑な式の中に現れることもあります。
たとえばy=1/(x+2)では、分母全体を一つのまとまりとして考えます。
u=x+2と置けば、y=1/uです。
y=1/(x+2)
y’=-(x+2)⁻²×1
=-1/(x+2)²
さらにy=1/(x²+1)なら、内側のx²+1も微分する必要があります。
導関数は-2x/(x²+1)²となります。
分母がxそのものではない場合、内側の式の微分を掛けることが合成関数の重要なルールです。
接線を求める問題
導関数は、ある点での接線の傾きを求めるためにも使われます。
y=1/xにおいてx=2での接線を考えると、傾きは-1/4です。
接点は(2,1/2)なので、点と傾きの関係から接線の式を作れます。
y-1/2=-1/4(x-2)
整理するとy=-x/4+1です。
接線の問題では、導関数への代入だけで終わりではありません。
元の関数にxの値を代入して接点のy座標も求める必要があります。
接線の式では、導関数から傾き、元の関数から接点を求めます。
二つの情報がそろって初めて、一次関数として接線を表せます。
まとめ
1/xを微分すると、導関数は-1/x²になります。
最も基本的な計算方法は、1/xをx⁻¹へ直し、べき乗の微分公式を使う流れです。
商の微分法でも同じ結果を得られるため、分数関数の形に応じて使い分けるとよいでしょう。
1/x²や係数付きの分数関数では、指数を一つ減らすことと、係数や符号を正確に掛け合わせることがポイントです。
x=0では関数も導関数も定義されないため、定義域を意識することも欠かせません。
さらに、分母がx+2やx²+1のような式になる場合には、合成関数の微分を使って内側の微分を掛けます。
公式を覚えるだけでなく、グラフの減少や接線の傾きと結び付けて理解すれば、1/xの微分を多くの問題で活用できるでしょう。