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エチレンの沸点は?融点との違いや密度・重合反応との関係も解説【公的機関のリンク付き】

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化学の世界で欠かせない存在のひとつが、エチレンという物質です。

プラスチックの原料として、また植物ホルモンとしても知られるエチレンは、私たちの生活に深く関わっています。

しかし「エチレンの沸点はいくつ?」「融点との違いは?」「密度や重合反応との関係は?」と聞かれると、すぐに答えられる方は多くないかもしれません。

この記事では、エチレンの沸点は?融点との違いや密度・重合反応との関係も解説として、エチレンの基本的な物理化学的性質をわかりやすくまとめています。

公的機関のデータも参照しながら、正確な情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。

エチレンの沸点は約-104℃!常温では気体の有機化合物

それではまず、エチレンの沸点について解説していきます。

エチレンの沸点の数値と特徴

エチレン(化学式:C₂H₄)の沸点は約-103.7℃(169.5 K)です。

これは、液体のエチレンが気体に変化する温度のことを指します。

常温(約20℃)では、この沸点をはるかに上回っているため、エチレンは常温・常圧下において気体として存在します。

無色で特有のわずかに甘い臭いを持つ気体で、空気よりもやや軽い性質があります。

エチレンの基本データ(沸点・融点・密度)

化学式 C₂H₄

分子量 28.05 g/mol

沸点 約-103.7℃(169.5 K)

融点 約-169.4℃(103.8 K)

密度(気体・0℃) 約1.178 kg/m³

沸点が非常に低い理由は、エチレンが分子間力(ファンデルワールス力)の弱い非極性分子であるためです。

分子量が小さく、分子間の引き合う力が弱いため、低温でも容易に気体になりやすい物質といえるでしょう。

なお、産業技術総合研究所(AIST)が提供するSDBSや、国立医薬品食品衛生研究所のデータベースでも、エチレンの物性値を確認することができます。

参考リンク:産業技術総合研究所 SDBS(有機化合物のスペクトルデータベース)

沸点と沸騰の仕組みを理解しよう

沸点とは、液体の蒸気圧が外圧(大気圧)と等しくなり、液体内部から気化が起こる温度のことです。

エチレンの場合、液体状態を保つには-103.7℃以下に冷却する必要があります。

工業的にエチレンを液化・輸送する場合には、超低温の冷却設備や高圧容器が用いられます。

石油化学プラントなどでは、液化エチレンの取り扱いに特別な安全管理が必要とされるのも、この極端に低い沸点が理由のひとつです。

他の低沸点物質との比較

エチレンの沸点を他の代表的な物質と比較すると、その低さがよくわかります。

物質名 化学式 沸点(℃)
エチレン C₂H₄ -103.7
エタン C₂H₆ -88.6
メタン CH₄ -161.5
プロピレン C₃H₆ -47.6
エタノール C₂H₅OH +78.4

メタンよりは沸点が高く、エタンよりも低い位置にあることがわかります。

同じ炭素数2でも、二重結合を持つエチレンとそうでないエタンでは沸点に差があり、分子構造と沸点の関係を考える好例といえるでしょう。

融点との違いとは?エチレンの固体・液体・気体の変化

続いては、融点とその違いについて確認していきます。

融点の定義と沸点との違い

融点とは、固体が液体に変化する温度のことです。

沸点が「液体→気体」の変化点であるのに対し、融点は「固体→液体」の変化点を指します。

エチレンの融点は約-169.4℃(103.8 K)で、沸点の-103.7℃よりも約65℃低い温度です。

つまり、エチレンを-169.4℃以下まで冷却すると固体(ドライアイスのような白い固体)になり、そこから温度を上げると液体、さらに上げると気体へと変化します。

エチレンの相変化まとめ

固体 →(融点:約-169.4℃)→ 液体 →(沸点:約-103.7℃)→ 気体

常温(約20℃)では気体として存在します。

融点・沸点・臨界点の関係

融点と沸点のほかに、物質の状態変化を語るうえで重要な温度が「臨界点」です。

エチレンの臨界温度は約9.2℃、臨界圧力は約5.04 MPaです。

臨界点を超えると、液体でも気体でもない「超臨界状態」になり、エチレンは超臨界流体として特殊な溶媒特性を示します。

この超臨界エチレンは研究分野での応用も検討されており、物質の状態変化と温度・圧力の関係を理解するうえで非常に興味深い物質です。

融点が低い理由と分子構造との関係

エチレンの融点が非常に低い理由も、沸点と同様に分子間力の弱さにあります。

エチレンは炭素原子2個と水素原子4個からなる小さな分子で、分子間に働くファンデルワールス力が弱いため、固体の結晶格子が低温でも崩れやすい性質があります。

同じ炭素数の飽和炭化水素であるエタン(融点:約-183℃)と比較しても、エチレンの融点のほうが高く、二重結合の存在が分子の形状や充填密度に影響していると考えられます。

分子量・分子構造・極性の3つが、融点・沸点を決める大きな要素といえるでしょう。

エチレンの密度と物性データ

続いては、エチレンの密度について確認していきます。

気体状態のエチレンの密度

エチレンの密度は、気体・液体いずれの状態かによって大きく異なります。

気体状態(0℃、1気圧)におけるエチレンの密度は約1.178 kg/m³(約1.178 g/L)です。

空気の密度は約1.293 kg/m³ですので、エチレンは空気よりもわずかに軽い気体です。

ただし、その差はわずかであるため、漏洩した場合には空気とほぼ同じように拡散しやすいとも言えます。

可燃性ガスであるエチレンの漏洩リスクを考えるうえでも、密度の把握は重要です。

状態 温度 密度
気体 0℃(1気圧) 約1.178 kg/m³
液体 -104℃付近 約568 kg/m³
空気(比較) 0℃(1気圧) 約1.293 kg/m³

液体エチレンの密度と産業利用

液体状態のエチレンの密度は約568 kg/m³(-104℃付近)で、気体状態と比較すると密度は約500倍近くに増加します。

これは液化することでエチレンをコンパクトに輸送・貯蔵できることを意味しており、石油化学産業における液化エチレンの輸送効率の高さに直結しています。

液化天然ガス(LNG)の輸送と同様、専用タンカーや断熱タンクを使ってエチレンを液化輸送する技術は、グローバルなサプライチェーンを支える重要な基盤となっています。

エチレンの可燃性と爆発限界

密度とあわせて押さえておきたいのが、エチレンの可燃性です。

エチレンは爆発限界(空気中)が約2.7〜36 vol%と非常に広く、引火しやすい物質です。

この数値は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所や消防庁の危険物データベースでも確認できます。

取り扱いには十分な換気と静電気対策が必要で、工業現場では厳格な安全規準が設けられています。

参考リンク:独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)化学物質総合情報提供システム(CHRIP)

エチレンの重合反応とポリエチレンへの変換

続いては、エチレンの重合反応について確認していきます。

付加重合とはどのような反応か

エチレンの最大の特徴のひとつが、炭素-炭素二重結合(C=C)を持つことです。

この二重結合のうち1本が開いて、次々と他のエチレン分子と結合していく反応を「付加重合」と呼びます。

付加重合の概要(エチレン→ポリエチレン)

n CH₂=CH₂ → [-CH₂-CH₂-]ₙ

(エチレンn個が結合し、ポリエチレンが生成される)

この反応によって生成されるのが、私たちに馴染み深いポリエチレン(PE)です。

ポリエチレンはビニール袋、ペットボトルのキャップ、食品包装フィルムなど、日常のあらゆる場面で使われているプラスチックです。

高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンの違い

重合条件や触媒によって、生成されるポリエチレンの種類が変わります。

代表的なものに「高密度ポリエチレン(HDPE)」と「低密度ポリエチレン(LDPE)」があります。

種類 密度(g/cm³) 主な用途 製造方法の特徴
高密度ポリエチレン(HDPE) 0.941〜0.965 パイプ・容器・ボトル 低圧法(チーグラー触媒等)
低密度ポリエチレン(LDPE) 0.910〜0.940 フィルム・袋・コーティング 高圧ラジカル重合法
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE) 0.915〜0.940 フィルム・ストレッチラップ 共重合法

HDPEは分子鎖が直線的で密に詰まっているため密度が高く、LDPEは分岐が多いため密度が低い傾向があります。

同じエチレンを出発原料としながら、重合方法の違いで全く異なる性質のプラスチックが生まれるのは非常に興味深い点ではないでしょうか。

エチレンの工業的製法とナフサ分解

工業的なエチレンの製造は、主にナフサ(粗製ガソリン)の熱分解(スチームクラッキング)によって行われます。

約800〜850℃の高温でナフサを水蒸気とともに熱分解することで、エチレン・プロピレン・ブタジエンなどのオレフィン類が生成されます。

日本ではエチレンプラントが各地の石油コンビナートに設置されており、年間数百万トンのエチレンが生産されています。

日本化学工業協会などのデータによれば、エチレンの生産量は石油化学産業全体の動向を示す指標としても注目されています。

参考リンク:一般社団法人 日本化学工業協会(日本化学工業協会 公式サイト)

エチレンは石油化学産業の「基礎原料の王」とも呼ばれており、ポリエチレン・エチレングリコール・塩化ビニル・スチレンなど多様な誘導体の出発原料となっています。

その生産量の多寡が、国内外の化学産業の景況感を示すバロメーターとして機能しています。

まとめ

この記事では、エチレンの沸点は?融点との違いや密度・重合反応との関係も解説として、エチレンの主要な物性と関連知識を整理しました。

エチレンの沸点は約-103.7℃で、常温では気体として存在します。

融点は約-169.4℃であり、沸点との差が約65℃あること、つまり常温では固体・液体のいずれにもなれず気体であることが理解できたかと思います。

密度は気体状態で約1.178 kg/m³と空気よりわずかに軽く、液体状態では約568 kg/m³と大きく変化します。

また、C=C二重結合を持つエチレンは付加重合によってポリエチレンへと変換され、私たちの生活を支えるプラスチック素材の出発点となっています。

エチレンの物性を正確に把握することは、化学の学習においても、石油化学産業の理解においても非常に重要です。

ぜひ今回の内容を参考に、さらに深い理解を深めていただければ幸いです。