「双曲線関数の微分って、どうやって求めるの?」という疑問は、微分積分を学ぶ中でよく出てくるものです。
双曲線関数の微分公式は三角関数の微分公式と非常によく似ており、一部の符号の違いさえ注意すれば体系的に整理することができます。
本記事では、双曲線関数の微分公式と計算方法を、sinh・cosh・tanhの導関数・合成関数の微分・公式一覧とともに丁寧に解説していきます。
双曲線関数の微分公式は三角関数と似ているが符号が異なる(結論)
それではまず、双曲線関数の微分公式の全体像と結論から解説していきます。
双曲線関数の微分公式を一覧で示すと次のとおりです。
(sinh x)’=cosh x
(cosh x)’=sinh x
(tanh x)’=1/cosh²x=sech²x
(coth x)’=−1/sinh²x=−csch²x
(sech x)’=−sech x・tanh x
(csch x)’=−csch x・coth x
三角関数では(sin x)’=cos x、(cos x)’=−sin x と符号が変わりますが、双曲線関数では(cosh x)’=sinh x と符号が変わりません。
この符号の違いが、双曲線関数の微分で最も注意すべきポイントです。
sinh xの微分の導出
sinh xの微分は定義式から直接導出できます。
sinh x=(eˣ−e⁻ˣ)/2 を微分すると
(sinh x)’=(eˣ−(−1)e⁻ˣ)/2=(eˣ+e⁻ˣ)/2=cosh x
eˣの微分がeˣ、e⁻ˣの微分が−e⁻ˣであることを使えば、定義から簡単に導出できます。
この導出過程を理解することで、公式を丸暗記しなくても自力で求められるようになります。
cosh xの微分の導出
同様にcosh xの微分も定義から求めます。
cosh x=(eˣ+e⁻ˣ)/2 を微分すると
(cosh x)’=(eˣ+(−1)e⁻ˣ)/2=(eˣ−e⁻ˣ)/2=sinh x
(cosh x)’=sinh xとなり、符号変化なしで sinh x になる点が三角関数と異なります。
三角関数では(cos x)’=−sin xと符号が変わることと対比して覚えておくと混同しにくくなります。
tanh xの微分の導出
tanh x=sinh x / cosh x を商の微分公式で求めます。
(tanh x)’={(sinh x)’・cosh x−sinh x・(cosh x)’} / cosh²x
={cosh x・cosh x−sinh x・sinh x} / cosh²x
=(cosh²x−sinh²x) / cosh²x
=1/cosh²x=sech²x(∵cosh²x−sinh²x=1)
cosh²x−sinh²x=1という恒等式が活用されており、計算が非常にきれいにまとまります。
合成関数の微分への応用
続いては、合成関数の微分に双曲線関数の微分公式を応用する方法を確認していきます。
合成関数の微分の基本
合成関数 f(g(x)) の微分は {f(g(x))}’=f'(g(x))・g'(x) という連鎖律(chain rule)で求めます。
双曲線関数の合成関数への応用例を確認していきましょう。
(sinh(3x))’=cosh(3x)・3=3cosh(3x)
(cosh(x²))’=sinh(x²)・2x=2x sinh(x²)
(tanh(eˣ))’=sech²(eˣ)・eˣ=eˣ sech²(eˣ)
内側の関数の微分を外側にかけることを忘れないようにすることが重要です。
双曲線関数の微分公式一覧
| 関数 | 導関数 | 三角関数との比較 |
|---|---|---|
| sinh x | cosh x | (sin x)’=cos x(同符号) |
| cosh x | sinh x | (cos x)’=−sin x(符号が異なる) |
| tanh x | sech²x | (tan x)’=sec²x(同形) |
| coth x | −csch²x | (cot x)’=−csc²x(同形) |
| sech x | −sech x tanh x | (sec x)’=sec x tan x(符号が異なる) |
| csch x | −csch x coth x | (csc x)’=−csc x cot x(同形) |
高階微分と双曲線関数
sinh xとcosh xは互いに微分し合う関係にあるため、高階微分が非常にシンプルになります。
(sinh x)”=(cosh x)’=sinh x となり、sinh xは自身の2階微分と等しくなります。
同様に(cosh x)”=cosh x も成立します。
これは微分方程式 y”=y の解がsinh xとcosh xであることを意味し、物理学の波動方程式や熱方程式の解析に深く関わっています。
双曲線関数の微分公式で最も重要なのは(sinh x)’=cosh x、(cosh x)’=sinh x(符号変化なし)、(tanh x)’=sech²x の3つです。三角関数との符号の違いに注意し、定義式から自力で導出できるようにしておくことが理解の定着につながります。
まとめ
本記事では、双曲線関数の微分公式と計算方法を、sinh・cosh・tanhの導関数の導出・合成関数への応用・三角関数との比較表とともに解説しました。
最も重要なポイントは(cosh x)’=sinh x が符号変化なしであること、そして定義式から導出できることです。
公式の意味を理解した上で使いこなせるよう、練習問題を通じてしっかり身につけていただければ幸いです。