「双曲線関数の積分って、どうやって計算するの?」という疑問は、微分積分を学ぶ過程で必ず出てくるものです。
双曲線関数の積分は微分の逆操作として求められるものが多く、逆双曲線関数との関係も重要です。
本記事では、双曲線関数の積分公式と計算手順を、不定積分・定積分・置換積分・部分積分・逆双曲線関数との関係とともに丁寧に解説していきます。
双曲線関数の積分公式は微分の逆として導ける(結論)
それではまず、双曲線関数の積分公式の全体像と結論から解説していきます。
双曲線関数の基本的な不定積分公式は次のとおりです。
∫sinh x dx=cosh x+C
∫cosh x dx=sinh x+C
∫tanh x dx=log|cosh x|+C(ln cosh x+Cとも表記)
∫coth x dx=log|sinh x|+C
∫sech²x dx=tanh x+C
∫csch²x dx=−coth x+C
∫sinh x dx=cosh x、∫cosh x dx=sinh x は微分公式の逆であり、符号変化なしに成立します。
三角関数では ∫sin x dx=−cos x+C と符号が変わりますが、双曲線関数では符号が変わらない点が重要な違いです。
∫sinh x dxの導出
(cosh x)’=sinh x であるから、微分の逆操作として ∫sinh x dx=cosh x+C が成立します。
または定義式を使って直接計算することもできます。
∫sinh x dx=∫(eˣ−e⁻ˣ)/2 dx=(eˣ+e⁻ˣ)/2+C=cosh x+C
どちらの方法でも同じ結果が得られることで、公式の正確さを確認できます。
∫tanh x dxの計算
tanh x=sinh x / cosh x であることを利用します。
∫tanh x dx=∫(sinh x / cosh x) dx
cosh xを置換:u=cosh x とおくと du=sinh x dx
=∫(1/u) du=log|u|+C=log|cosh x|+C
(cosh x≧1>0なので log cosh x+C とも書ける)
この計算は「∫(f'(x)/f(x)) dx=log|f(x)|+C」という対数の積分公式の応用です。
置換積分と部分積分の応用
続いては、置換積分と部分積分を使った双曲線関数の積分の応用を確認していきます。
置換積分の例
合成関数の積分には置換積分が有効です。
∫sinh(2x) dx の計算:u=2xとおくとdu=2dx → dx=du/2
=∫sinh(u)・(du/2)=(1/2)cosh(u)+C=(1/2)cosh(2x)+C
一般に ∫sinh(ax) dx=(1/a)cosh(ax)+C が成立します。
部分積分の例
∫x sinh x dx のような積の積分には部分積分を使います。
∫x sinh x dx:u=x、dv=sinh x dx とおくと du=dx、v=cosh x
=x cosh x−∫cosh x dx=x cosh x−sinh x+C
部分積分の公式 ∫u dv=uv−∫v du を使うことで、複雑な積分も段階的に計算できます。
逆双曲線関数との関係
双曲線関数の積分は逆双曲線関数(arsinh・arcosh・artanh)とも深く関連しています。
∫1/√(x²+1) dx=arsinh x+C=log(x+√(x²+1))+C
∫1/√(x²−1) dx=arcosh x+C=log(x+√(x²−1))+C(x>1)
∫1/(1−x²) dx=artanh x+C=(1/2)log|(1+x)/(1−x)|+C(|x|<1)
これらの積分公式は、有理関数・根号を含む関数の積分において非常に重要な役割を果たします。
| 積分 | 結果 | 備考 |
|---|---|---|
| ∫sinh x dx | cosh x+C | 符号変化なし |
| ∫cosh x dx | sinh x+C | 符号変化なし |
| ∫tanh x dx | log cosh x+C | 置換積分で導出 |
| ∫sech²x dx | tanh x+C | 微分の逆 |
| ∫1/√(x²+1) dx | arsinh x+C | 逆双曲線関数 |
双曲線関数の積分の基本は∫sinh x dx=cosh x+C、∫cosh x dx=sinh x+C(いずれも符号変化なし)。∫tanh x dxはlog cosh x+C。逆双曲線関数との関係(∫1/√(x²+1)=arsinh x+C など)も重要な積分公式です。
まとめ
本記事では、双曲線関数の積分公式と計算手順を、不定積分・置換積分・部分積分・逆双曲線関数との関係とともに解説しました。
基本公式は微分の逆として導出でき、tanh xの積分は置換積分、x sinh xの積分は部分積分で求めることができます。
逆双曲線関数を含む積分公式は有理関数・根号の積分でも活用されるため、あわせて習得しておくことをおすすめします。