「ネットワークセグメントの計算方法がわからない」という方はネットワーク設計やサブネット分割を学んでいる方に多いでしょう。
IPアドレスとサブネットマスクからセグメントを求める手順や計算式がわかりにくいと感じる方も多いかもしれません。
本記事では、ネットワークセグメントの計算方法を、IPアドレスとサブネットマスクからの求め方・セグメント数の計算式・VLAN・計算ツールの活用を交えてわかりやすく解説します。
ネットワークの資格学習に取り組んでいる方や実務でサブネット設計を行う方にもきっと役立つ内容でしょう。
ネットワークセグメントの計算を正しく理解することで、IPアドレスの効率的な管理と適切なサブネット設計が実現できます。
ネットワークセグメントはIPアドレスとサブネットマスクのAND演算で求められる
それではまず、ネットワークセグメントの基本的な計算方法について解説していきます。
ネットワークセグメント(ネットワークアドレス)は、IPアドレスとサブネットマスクをビット単位でAND演算することで求められるでしょう。
AND演算とは「両方が1のときだけ1になる」論理演算で、IPアドレスのホスト部をすべて0に置き換えることでネットワークアドレスが得られます。
たとえばIPアドレスが「192.168.1.100」でサブネットマスクが「255.255.255.0」の場合、AND演算の結果は「192.168.1.0」となりこれがネットワークセグメントのアドレスです。
このネットワークアドレスを基準に同一セグメント内のホストアドレス範囲・ブロードキャストアドレス・使用可能なホスト数を求めることができるでしょう。
ネットワークセグメントの計算の基本はAND演算です。IPアドレスとサブネットマスクを2進数に変換してAND演算を行うと、ネットワーク部が抽出されネットワークアドレスが求まります。この計算をマスターすることがサブネット設計の第一歩です。
AND演算によるネットワークアドレスの計算手順
具体的な計算手順を確認してみましょう。
【例:IPアドレス192.168.1.100・サブネットマスク255.255.255.0の場合】
IPアドレス: 11000000.10101000.00000001.01100100
サブネットマスク:11111111.11111111.11111111.00000000
AND演算結果: 11000000.10101000.00000001.00000000
ネットワークアドレス:192.168.1.0
【各要素の導出】
ネットワークアドレス:192.168.1.0(ホスト部がすべて0)
ブロードキャストアドレス:192.168.1.255(ホスト部がすべて1)
使用可能なホスト範囲:192.168.1.1〜192.168.1.254
使用可能なホスト数:254台
AND演算の結果としてホスト部がすべて0になったアドレスがネットワークアドレスで、ホスト部がすべて1になったアドレスがブロードキャストアドレスでしょう。
CIDR表記とネットワークセグメントの関係
現代のネットワーク設計ではサブネットマスクをCIDR(Classless Inter-Domain Routing)表記で表すことが一般的です。
| CIDR表記 | サブネットマスク | ホスト部のビット数 | 使用可能ホスト数 |
|---|---|---|---|
| /24 | 255.255.255.0 | 8ビット | 254台 |
| /25 | 255.255.255.128 | 7ビット | 126台 |
| /26 | 255.255.255.192 | 6ビット | 62台 |
| /27 | 255.255.255.224 | 5ビット | 30台 |
| /28 | 255.255.255.240 | 4ビット | 14台 |
CIDR表記の数字はネットワーク部のビット数を示しており、32からCIDRの数字を引いた値がホスト部のビット数となるでしょう。
使用可能なホスト数の計算式
使用可能なホスト数は以下の計算式で求められます。
【使用可能なホスト数の計算式】
使用可能なホスト数 = 2のホスト部ビット数乗 - 2
「-2」の理由:ネットワークアドレス(ホスト部がすべて0)とブロードキャストアドレス(ホスト部がすべて1)を除くため
【計算例】
/24(ホスト部8ビット):2の8乗 = 256 → 256-2 = 254台
/26(ホスト部6ビット):2の6乗 = 64 → 64-2 = 62台
/28(ホスト部4ビット):2の4乗 = 16 → 16-2 = 14台
この計算式を覚えておくと、サブネットマスクから使用可能なホスト数を素早く算出できるでしょう。
セグメント数の計算方法
続いては、サブネット分割によって得られるセグメント数の計算方法を確認していきます。
ネットワーク設計でサブネット分割を行う際にセグメント数を正確に計算できることが重要でしょう。
セグメント数の計算式
あるネットワークをより小さいサブネットに分割した場合のセグメント数は以下の計算式で求められます。
【セグメント数の計算式】
セグメント数 = 2の借用ビット数乗
借用ビット数 = 新しいCIDR値 - 元のCIDR値
【計算例:/24を/26に分割した場合】
借用ビット数 = 26 - 24 = 2ビット
セグメント数 = 2の2乗 = 4セグメント
【計算例:/24を/27に分割した場合】
借用ビット数 = 27 - 24 = 3ビット
セグメント数 = 2の3乗 = 8セグメント
ホスト部からネットワーク部へビットを借用するほどセグメント数が増え、各セグメントのホスト数が減るというトレードオフが生じるでしょう。
サブネット分割の具体的な計算例
192.168.1.0/24を/26に分割した場合の4つのセグメントを求めてみましょう。
| セグメント番号 | ネットワークアドレス | 使用可能ホスト範囲 | ブロードキャスト |
|---|---|---|---|
| 第1 | 192.168.1.0/26 | 192.168.1.1〜192.168.1.62 | 192.168.1.63 |
| 第2 | 192.168.1.64/26 | 192.168.1.65〜192.168.1.126 | 192.168.1.127 |
| 第3 | 192.168.1.128/26 | 192.168.1.129〜192.168.1.190 | 192.168.1.191 |
| 第4 | 192.168.1.192/26 | 192.168.1.193〜192.168.1.254 | 192.168.1.255 |
/26のサブネット境界は64の倍数(0・64・128・192)になるため、サブネット境界の値を覚えておくと計算が速くなるでしょう。
サブネット境界値の一覧
【CIDRごとのサブネット境界値(第4オクテット)】
/25(境界128):0・128
/26(境界64):0・64・128・192
/27(境界32):0・32・64・96・128・160・192・224
/28(境界16):0・16・32・48・64・80・96・112・128・144・160・176・192・208・224・240
境界値はサブネットマスクの第4オクテットの「0でないビット」の最小値(256からサブネットマスクの第4オクテットの値を引いた値)で求められるでしょう。
VLANとネットワークセグメントの関係
続いては、ネットワークセグメントとVLANの関係を確認していきます。
VLANを使ったセグメント分割の考え方を理解しておくことで、より柔軟なネットワーク設計が可能になるでしょう。
VLANとは何か
VLAN(Virtual LAN)とは、物理的なネットワーク構成に関係なく、論理的に複数のネットワークセグメントに分割する技術です。
1台のスイッチを複数の論理的なスイッチとして機能させることができ、VLAN IDという番号でセグメントを識別します。
物理的な配線を変えることなくネットワークセグメントを柔軟に変更・追加できる点がVLANの最大のメリットでしょう。
VLANとサブネットの対応関係
一般的にVLANとIPサブネット(ネットワークセグメント)は1対1で対応するように設計されます。
| VLAN ID | 用途 | IPサブネット |
|---|---|---|
| VLAN 10 | 営業部 | 192.168.10.0/24 |
| VLAN 20 | 開発部 | 192.168.20.0/24 |
| VLAN 30 | 管理部 | 192.168.30.0/24 |
| VLAN 100 | サーバー | 192.168.100.0/24 |
VLAN間の通信はレイヤー3スイッチやルーターを介して行われ、VLANを使ったセグメント分割によって部署間のトラフィック分離とセキュリティ向上が実現できるでしょう。
サブネット計算ツールの活用
サブネットの計算は手動でも行えますが、計算ツールを活用することで効率が大幅に向上します。
【代表的なサブネット計算ツール】
・ipcalc(Linuxコマンド):コマンドラインでサブネット計算
例)ipcalc 192.168.1.0/26
・Subnet Calculator(Webツール):ブラウザ上でサブネット計算
・Visual Subnet Calculator:視覚的にサブネット分割を確認
・Cisco AnyConnect Network Calculator:Cisco製のサブネット計算ツール
試験勉強や資格取得の際には手計算でのサブネット計算をマスターすることが重要ですが、実務ではツールを積極的に活用して効率化するのが賢明でしょう。
まとめ
本記事では、ネットワークセグメントの計算方法について、AND演算によるネットワークアドレスの導出・セグメント数の計算式・VLAN・計算ツールの活用を交えながら解説しました。
ネットワークセグメントはIPアドレスとサブネットマスクのAND演算で求められ、使用可能なホスト数は2のホスト部ビット数乗から2を引いた値となります。
セグメント数は借用ビット数を使って2の借用ビット数乗で計算でき、VLANと組み合わせることで論理的なネットワーク分割が柔軟に実現できるでしょう。
手計算でのサブネット計算をマスターしたうえで、実務ではサブネット計算ツールを活用することで効率的なネットワーク設計が可能になります。
本記事がネットワークセグメントの計算方法への理解を深め、サブネット設計や資格学習の実践に役立てば幸いです。