関数1/x²は、分数を含む関数の微分やグラフを学ぶ際に重要な代表例です。
式は短く見えても、定義域、符号、増減、漸近線、極限といった複数のポイントが関わります。
とくにグラフを描く問題では、単に値を代入するだけでは形を正しく判断できません。
この記事では1/x²の微分公式から増減表の作り方、グラフの特徴、具体的な計算例までを順に解説します。
1/x²の微分とグラフの全体像

それではまず1/x²の微分とグラフの全体像について解説していきます。
微分結果と基本公式
1/x²は、指数を使うとxのマイナス2乗と表せます。
つまり、1/x²=x⁻²です。
べき関数の微分では、xのn乗を微分するとn xのn-1乗になる公式を用います。
f(x)=1/x²=x⁻²
f'(x)=-2x⁻³=-2/x³
したがって、1/x²を微分した答えは-2/x³です。
分母にx³があるため、x=0では微分係数以前に関数そのものが定義されません。
計算だけを見ると指数が1つ減る操作ですが、グラフを理解するうえでは符号の変化が大切になります。
グラフが存在する範囲
関数y=1/x²では、分母が0になるx=0を使えません。
そのため定義域は、xが0ではないすべての実数です。
負の数を2乗すると正になるので、xが正でも負でもx²は正の値になります。
結果としてy=1/x²の値は常に正であり、グラフはx軸より下へ入ることがありません。
y=1/x²はx=0で定義されず、x軸より上側にだけ現れる関数です。
この2点を最初に押さえると、グラフの位置を取り違えにくくなります。
x=1とx=-1では、どちらもy=1になります。
このように左右で同じ値を取る性質は、偶関数であることと関係しています。
微分と形の関係
導関数-2/x³は、xの正負によって符号が変わります。
xが正ならx³も正なので、-2/x³は負です。
一方、xが負ならx³は負となり、-2/x³は正になります。
つまり元の関数は、負の範囲では増加し、正の範囲では減少します。
左側ではx軸に近づきながら上昇し、右側では急に下がりながらx軸へ近づく形が基本です。
x=0をまたいで連続しているわけではないため、左右の枝を1本の線で結んではいけません。
1/x²の微分計算と変形方法
続いては1/x²を微分する際の計算方法を確認していきます。
負の指数へ直す方法
最も基本となるのは、分数式を負の指数へ書き換える方法です。
1/x²はx⁻²なので、係数のマイナス2を前に出し、指数をさらに1減らします。
計算途中で分母と分子を複雑に扱わずに済むため、試験でも使いやすい考え方です。
x⁻²を微分する場合
-2x⁻³
-2/x³
最後に正の指数を使う分数の形へ戻すと、答えが見やすくなります。
ただし、x⁻²を-x²と誤解しないよう注意が必要です。
負の指数は数の符号ではなく、逆数を表す記号です。
商の微分法による確認
1/x²を、分子が1、分母がx²の商と見て微分することもできます。
商の微分法では、分子の微分と分母の微分を使います。
f(x)=1/x²
f'(x)={0×x²-1×2x}/x⁴
f'(x)=-2x/x⁴=-2/x³
負の指数を使った答えと一致するため、計算の確認にも役立つでしょう。
ただし分母に多項式がある場合、商の微分法は式が長くなりがちです。
今回のような単純な逆数の累乗では、指数表示で考えるほうが素早く処理できます。
合成関数として考える方法
分母がxだけではなく、x+1や2x-3になる問題では合成関数の微分が便利です。
たとえばy=1/(x+1)²は、u=x+1として1/u²を微分する流れになります。
外側を微分したあと、内側のuをxで微分して掛けます。
y=1/(x+1)²の導関数は-2/(x+1)³です。
一方でy=1/(2x-3)²なら、内側の微分が2となります。
そのため導関数は-4/(2x-3)³です。
分母の中身がx以外に変わるときは、内側の微分を忘れないことが重要になります。
1/x²のグラフと対称性
続いては1/x²のグラフの位置と対称性を確認していきます。
y軸に対する線対称
f(x)=1/x²に-xを入れると、f(-x)=1/(-x)²となります。
分母の2乗によってマイナスが消えるため、f(-x)=1/x²=f(x)です。
この関係を満たす関数は偶関数と呼ばれ、グラフはy軸に対して線対称になります。
右側の枝を正しく描ければ、左側はy軸を鏡にした形として描けます。
たとえば点(2、1/4)があるなら、点(-2、1/4)も必ず通ります。
左右の高さがそろうことは、1/x²のグラフを見分ける大きな目印です。
代表的な通過点
グラフを書くときは、いくつかの代表値を表にしてから座標平面へ打つと安定します。
| x | x² | y=1/x² |
|---|---|---|
| -3 | 9 | 1/9 |
| -2 | 4 | 1/4 |
| -1 | 1 | 1 |
| 1 | 1 | 1 |
| 2 | 4 | 1/4 |
| 3 | 9 | 1/9 |
xの絶対値が大きくなるほど分母の2乗も大きくなり、yは0へ近づきます。
反対にxの絶対値が0へ近づくほど分母が小さくなり、yは急激に大きくなります。
座標を打つ際は、x=0に点を置かないことも忘れないでください。
1/xとの違い
y=1/xとy=1/x²は似た式ですが、グラフの位置が大きく異なります。
y=1/xでは、xが負ならyも負になるため、第1象限と第3象限に枝が現れます。
一方のy=1/x²は、負のxでもyが正です。
| 関数 | グラフの主な位置 | 対称性 |
|---|---|---|
| y=1/x | 第1象限と第3象限 | 原点に対する点対称 |
| y=1/x² | 第1象限と第2象限 | y軸に対する線対称 |
指数が偶数か奇数かで、負のxを入れたときの符号が変わる点が違いの中心です。
問題文で分母の指数を見落とすと、枝を誤った象限へ描いてしまうでしょう。
漸近線と極限の考え方
続いては漸近線と極限からグラフの端の動きを確認していきます。
x=0における垂直漸近線
xが0へ近づくと、x²は正のまま0へ近づきます。
その逆数である1/x²は、限りなく大きくなります。
右側から近づいても左側から近づいても、yの値は正の無限大へ向かいます。
このため、直線x=0、すなわちy軸は垂直漸近線です。
x=0はグラフが通る場所ではありません。
左右の枝はy軸へ近づくほど上へ伸び続け、y軸と交わりません。
垂直漸近線がある関数では、分母を0にする値を先に求める習慣を付けるとよいでしょう。
定義域の確認と漸近線の確認を同時に進められます。
xが大きくなる場合の水平漸近線
xが正の大きな数でも負の大きな数でも、x²は非常に大きくなります。
そのため1/x²は0に近づきます。
ただし逆数の2乗は常に正なので、0へ下から近づくことはありません。
グラフはx軸の上側から近づき、x軸と交わらない形です。
したがって直線y=0、すなわちx軸が水平漸近線になります。
漸近線はグラフが近づく目安の線であり、有限のxでは基本的に交わらないと捉えると理解しやすくなります。
極限記号で表す変化
極限では、xがある値に近づくときの関数の様子を記号で表します。
1/x²では、xが0へ近づくとyは正の無限大へ近づきます。
また、xが正または負の無限大へ向かうとき、yは0へ近づきます。
xが0へ近づくとき、1/x²は正の無限大へ近づきます。
xが正の無限大または負の無限大へ向かうとき、1/x²は0へ近づきます。
極限の結果は、実際にグラフを描くときの両端とy軸付近の形を決める情報です。
数値表だけでは見えにくい遠くの動きも、極限を使うと整理できます。
増減表とグラフの書き方
続いては導関数を使った増減表とグラフの書き方を確認していきます。
導関数の符号判定
導関数はf'(x)=-2/x³です。
xが0より小さい範囲ではx³が負なので、導関数は正になります。
xが0より大きい範囲ではx³が正なので、導関数は負です。
よって、負の範囲では増加、正の範囲では減少となります。
| xの範囲 | -2/x³の符号 | f(x)の変化 |
|---|---|---|
| x<0 | 正 | 増加 |
| x=0 | 定義されない | 区切り |
| x>0 | 負 | 減少 |
x=0は極大値や極小値ではなく、関数が存在しない境目です。
導関数の符号が左右で変わるからといって、x=0を極値と判断しないようにしましょう。
増減表にまとめる手順
増減表では、まず定義されないx=0を中央に置きます。
次に左右の区間で導関数の符号を書き、その下に関数の増減を書き込みます。
左側ではxが負の大きな値から0へ近づくにつれて、yは0に近い値から正の無限大へ増えます。
右側ではxが0へ近い位置で正の無限大に近く、右へ進むほど0へ向かって下がります。
増減表ではx=0を通過点として扱わず、左右を分けて考えます。
不連続な点を明確にすることが、正確なグラフにつながります。
増減表は、グラフを描く前の設計図のような役割を持ちます。
符号と極限を合わせて確認すれば、曲線の向きを迷いにくくなるでしょう。
手書きグラフの描画順序
グラフは、最初にx軸とy軸を描き、x=0とy=0が漸近線であることを意識します。
次に(1、1)、(2、1/4)、(-1、1)、(-2、1/4)などを打ちます。
y軸のすぐ右側では上へ大きく伸び、右へ行くほどx軸へ近づく曲線を描きます。
左側もy軸対称になるように、y軸へ近づくほど上へ伸びる曲線にします。
曲線は漸近線へ近づけても、軸そのものに重ねないことが見た目のポイントです。
点を直線で結ぶのではなく、なめらかな曲線として表現すると関数の性質が伝わります。
応用問題と計算例
続いては1/x²を使う応用問題と計算例を確認していきます。
特定のxにおける接線の傾き
y=1/x²のx=1における接線の傾きを求める問題を考えます。
導関数は-2/x³なので、x=1を代入すると傾きは-2です。
元の関数へx=1を代入すると、接点は(1、1)になります。
接点は(1、1)
接線の傾きは-2
接線はy-1=-2(x-1)
整理すると、接線の式はy=-2x+3です。
接線を求めるときは、導関数から傾き、元の関数から接点を得る流れを覚えておきましょう。
分母が移動した関数
y=1/(x-2)²のように、xが2だけ移動した形もよく出題されます。
この関数ではx=2で分母が0になるため、垂直漸近線はx=2です。
またyは常に正であり、グラフは直線x=2に対して左右対称になります。
導関数は-2/(x-2)³です。
xが2より小さい範囲では増加し、xが2より大きい範囲では減少します。
xの代わりにx-aが入るとき、グラフ全体はaだけ横へ移動すると考えると整理できます。
係数を含む関数
y=3/x²では、1/x²の値を3倍したグラフになります。
yの値が全体的に3倍になるので、グラフはx軸から縦方向に伸びます。
導関数も3倍され、y’=-6/x³です。
係数が正ならグラフはx軸の上側にあり、左右対称という性質も変わりません。
係数が負のy=-1/x²では、グラフ全体がx軸に対して反転します。
この場合はx軸の下側に枝が現れ、負の範囲では減少、正の範囲では増加になります。
係数の符号はグラフがx軸の上か下かを決める重要な条件です。
1/x²の微分とグラフのまとめ
最後に1/x²の微分とグラフの要点をまとめます。
1/x²はx⁻²と変形でき、微分すると-2/x³になります。
x=0では定義されず、y軸は垂直漸近線です。
また、xの絶対値が大きくなるほどyは0へ近づくため、x軸は水平漸近線になります。
グラフはy軸に関して対称で、第1象限と第2象限に2本の枝が現れます。
導関数の符号から、x<0では増加し、x>0では減少することも分かります。
指数表示への変形、定義域、漸近線、導関数の符号を順に確認することが、計算と作図を確実に進める近道です。