図面における寸法の表記方法は、製造・施工・検査の現場で正確に情報を伝えるための最も重要な要素の一つです。
寸法の書き方に誤りや不明瞭な点があると、製品の寸法違いや施工ミスにつながる恐れがあります。
本記事では、図面の寸法表記の書き方とルールについて、寸法線・数値記入・公差・ピッチ・角度・表面粗さまで幅広く解説していきます。
JIS規格に基づいた正確な寸法表記を身につけることで、図面の品質が大きく向上するでしょう。
図面の寸法表記の基本:寸法線と寸法数値の書き方
それではまず、寸法表記の最も基本的なルールである寸法線と寸法数値の書き方について解説していきます。
寸法表記は「寸法補助線・寸法線・矢印・寸法数値」の4要素で構成されます。
寸法線の書き方ルール:
・寸法補助線は外形線から約2mm離して引き出す
・寸法線は寸法補助線に対して垂直に引く
・寸法線の両端に矢印(または斜め線)を付ける
・寸法数値は寸法線の中央上側に記入する
・寸法線と外形線の間隔は約8〜10mm
寸法数値は原則としてmm(ミリメートル)単位で記入し、単位記号「mm」は省略するのがJIS規格の基本ルールです。
ただし、mm以外の単位を使う場合は単位記号を必ず記入します。
寸法数値の向きと位置のルール
寸法数値の向きは、水平方向の寸法線では横書き(左から右)、垂直方向の寸法線では縦書き(下から上)に記入するのが基本です。
斜め方向の寸法数値は寸法線に沿った方向で記入します。
寸法線が混みあっている場合は、引出し線(参照線)を使って数値を記入することもできます。
寸法記号の種類と使い方
| 記号 | 意味 | 記入例 |
|---|---|---|
| ⌀または Φ | 直径 | ⌀20 |
| R | 半径 | R10 |
| □ | 正方形の辺長 | □15 |
| C | 45°の面取り | C2 |
| t | 板厚 | t3.2 |
| SR | 球の半径 | SR5 |
これらの記号を正確に使い分けることで、形状の意図を明確に伝えることができます。
公差・ピッチ・角度の寸法表記
続いては、公差・ピッチ・角度の寸法表記方法について確認していきます。
公差・ピッチ・角度の寸法表記は機械図面で特に重要な要素です。
公差の寸法表記
公差とは、寸法に許容される誤差範囲のことです。
公差の表記方法:基準寸法 + 上限偏差/下限偏差
例:20 +0.02/-0.01(基準20mm、上限20.02mm、下限19.99mm)
対称公差:20 ± 0.05(上限20.05mm、下限19.95mm)
公差の指定がない寸法には「一般公差」(JIS B 0405など)が適用されることが多く、表題欄や注記に明示されます。
ピッチの寸法表記
ピッチとは、同じ形状が繰り返される間隔のことです。
ピッチの表記方法:「n×P」または「P(ピッチ間隔)× 個数」で表記
例:5×20(20mmピッチで5箇所の穴)
または「20ピッチ×5=100」のように合計寸法も記入することがあります
等間隔に繰り返す穴・スロット・歯車の歯などの寸法を効率よく表記できます。
角度の寸法表記
角度は度(°)・分(’)・秒(”)を使って表記します。
例:45°、30°30’(30度30分)、22°15’30″(22度15分30秒)
角度の寸法線は円弧で描き、寸法数値に「°」を付けて記入します。
テーパー(勾配)の指定には角度のほかに、勾配比(例:1:10)で表記することもあります。
表面粗さの寸法表記
続いては、機械図面でよく使われる表面粗さの表記方法を確認していきます。
表面粗さ記号は加工面の仕上げ状態を指定するための重要な記号であり、JIS B 0601に基づいて定義されています。
主な表面粗さパラメータ:
Ra:算術平均粗さ(最も一般的に使われる指標)
Rz:最大高さ粗さ
記入例:Ra 1.6(算術平均粗さ1.6μm以下を指定)
表面粗さ記号は対象の面を表す外形線または引出し線の上に記入します。
値が小さいほど滑らかな仕上げを要求することを意味し、加工コストと相関しますので、必要十分な値を指定することが重要です。
まとめ
本記事では、図面の寸法表記の書き方とルールについて解説しました。
寸法表記は寸法補助線・寸法線・矢印・寸法数値の4要素で構成され、JIS規格に基づいて正確に記入することが求められます。
公差・ピッチ・角度・表面粗さなど各種の寸法表記方法を習得することで、設計意図を正確に伝える図面が作成できるようになります。
寸法表記のルールをしっかり覚え、正確で読みやすい図面作成を目指してください。