図面において「線種」は、形状の見え方・隠れ方・基準位置など様々な情報を表現するための重要な手段です。
実線・破線・一点鎖線・二点鎖線など、それぞれの線種には明確な意味とルールがあり、JIS規格によって定められています。
本記事では、図面の線種の種類・意味・使い方について、中心線・隠れ線・切断線・省略線などの具体的な使用例を交えながら解説していきます。
線種を正しく使い分けることが、正確で読みやすい図面作成の基本です。
図面の線種一覧:JIS規格に基づく線の種類と意味
それではまず、JIS規格(JIS B 0001)に基づく線種の種類と使い方について解説していきます。
図面で使われる線種は太さと形状によって分類され、それぞれに決められた用途があります。
| 線の種類 | 線の形状 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 太い実線 | 太い連続線 | 外形線・断面形状の輪郭 |
| 細い実線 | 細い連続線 | 寸法線・寸法補助線・引出し線・ハッチング |
| 破線(細) | 短い線の繰り返し | 隠れ線(見えない輪郭) |
| 一点鎖線(細) | 長短交互の線 | 中心線・対称線・基準線・ピッチ線 |
| 二点鎖線(細) | 長短短交互の線 | 想像線・隣接部品・可動部分の範囲 |
| 波線または鎖線 | 波状または不規則線 | 省略・折り取り線・断面境界線 |
線の太さは通常「細線(0.25〜0.35mm)」と「太線(0.5〜0.7mm)」の2種類を使い分けます。
外形線(太い実線)の使い方
外形線は図面の中で最も目立つ線であり、物体の見える輪郭を表します。
太い実線で描くことで、他の線種(細い補助線・中心線など)と明確に区別することができます。
外形線を描く際は、線の太さを均一に保ち、角・端部・交点を明確に表現することが重要です。
隠れ線(破線)の使い方
隠れ線は、見えない部分(内部の穴・溝・輪郭など)を破線で表示するための線種です。
内部構造がある場合、その内部形状を破線で示すことで、断面図を描かなくても内部の存在を表現できます。
ただし、内部構造が複雑な場合は断面図を使って明確に表示する方が読みやすくなります。
中心線と対称線の使い方
続いては、図面において特に重要な中心線と対称線の使い方について確認していきます。
中心線は一点鎖線で描き、円・円弧・対称形状の中心を示す基準線として使われます。
中心線の描き方のルール
中心線を描く際の主なルールは次の通りです。
一点鎖線で描き、外形線の外側まで約3〜5mm延ばして表示します。
円の中心では水平と垂直の2本の中心線を交差させて中心点を明示します。
中心線は寸法の基準になることが多いため、正確な位置に描くことが重要です。
中心線の使用例:
・円・円弧の中心(水平線と垂直線の交差)
・対称形状の対称軸
・ボルト穴・ピンなどの配置ピッチ線
・回転体の軸線
切断線の使い方
切断線は、断面図を作成するためにどの位置で切断するかを示す線で、太い一点鎖線で描きます。
切断線の両端に矢印を付け、投影方向(断面図を見る方向)を示します。
また、切断面に対応する断面図には「A-A」「B-B」などのアルファベットで識別記号を付け、どの切断線に対応するかを明示します。
省略線の使い方と二点鎖線の活用
続いては、省略線と二点鎖線の使い方について確認していきます。
省略線は長い形状を一部省略して図面を見やすくするために使い、二点鎖線は想像線・隣接部品・可動部分の範囲を表すために使います。
省略線の使い方
長い形状(シャフト・棒材など)を省略して図面に描く際は、波線(フリーハンド線)または2本の実線で省略箇所を表示します。
省略しても寸法は実際の寸法を記入し、省略前の形状がわかるように処理します。
二点鎖線(想像線)の使い方
二点鎖線(想像線)は実際には存在しないが、参考のために表示する情報を示すために使われます。
二点鎖線の主な使用場面:
・組立図での隣接する別部品の外形
・可動部品の移動限界位置
・加工前の素材形状(素材外形)
・設計変更前の旧形状の参考表示
二点鎖線を適切に使うことで、図面上に補足的な情報を効果的に付け加えることができます。
まとめ
本記事では、図面の線種の種類・意味・使い方について解説しました。
外形線(太い実線)・隠れ線(破線)・中心線(一点鎖線)・省略線・二点鎖線(想像線)など、各線種には明確な用途があります。
線種を正確に使い分けることで、図面の情報が明確に伝わり、製造・施工の現場での誤解を防ぐことができます。
JIS規格に基づいた線種の使い方をしっかりと身につけることが、正確な図面作成の基礎となるでしょう。