Excelで売上や温度、推移データを折れ線グラフにすると、一部だけ極端に大きい数値が含まれて縦軸の差が読みにくくなることがあります。
縦軸の途中を省略したい場合は、Excel標準の折れ線グラフに軸の省略記号を直接設定する機能がない点を理解したうえで、目的に応じた見せ方を選ぶことが重要です。
縦軸を見やすくする主な方法は、縦軸の最小値と最大値を調整する方法、補助系列で省略表現を作る方法、上下のグラフを並べる方法です。
この記事では、途中の目盛りを省略したように見せる実践的な方法と、誤解を招かないグラフ作成の注意点を解説します。
エクセルの折れ線グラフで縦軸を省略する方法1【軸の範囲を設定】
| 月 | 売上 | 前年売上 |
|---|---|---|
| 4月 | 120 | 105 |
| 5月 | 135 | 118 |
| 6月 | 128 | 122 |
| 7月 | 520 | 130 |
それではまず、縦軸の表示範囲を設定して、通常の値の変化を拡大する方法について解説していきます。
縦軸の書式設定画面
折れ線グラフを選択して縦軸の数値をクリックし、右クリックメニューから「軸の書式設定」を選択します。
縦軸そのものを選択してから操作することが、設定画面を正しく表示するポイントです。
右側に表示される作業ウィンドウでは、「軸のオプション」から境界値と単位を変更できます。
グラフの枠線や横軸を選んだ状態では別の設定が開くため、数値ラベルの近くをクリックすると確実です。
例として売上が120から135程度で推移しているなら、最小値を100、最大値を150にすると細かな上下動を読み取りやすくなります。
【操作のポイント】縦軸をクリックした際に軸全体が選択状態になることを確認してから、右クリックしてください。
最小値と最大値の固定
「境界値」の最小値と最大値は初期状態では自動になっていますが、数値を入力すると固定に切り替わります。
たとえば120、135、128という値を比較したいとき、最大値を600のままにすると線が下部に集まり、差がほとんど見えません。
そこで最小値を100、最大値を160に設定すると、変化の大きさを視覚的に把握しやすくなります。
ただし520のデータ点はグラフ領域の外へ出るため、値が存在することを表や注記で補う必要があります。
最大値を超えるデータがある場合は、系列の一部が表示されないため、通常の推移だけを示す用途に限定する判断が必要です。
縦軸の範囲を固定した後の確認式の考え方は、表示対象かどうかを「値が最小値以上かつ最大値以下か」で判定することです。
数式例
=IF(AND(B2>=100,B2<=160),B2,NA())
1行目を見出し、B列を売上とした場合、B2が表示範囲内だけ値を返し、範囲外ではグラフに描かれないNAエラーを返します。
【操作のポイント】数値の比較が目的なら、最小値と最大値を固定したことをグラフタイトルや注記にも明記しましょう。
主単位と補助目盛線
縦軸の範囲を決めた後は、「単位」の主単位も調整すると目盛りが読みやすくなります。
最小値100、最大値160の範囲なら、主単位を10に設定すると100、110、120のように規則的な目盛りになります。
表示範囲が狭いほど、主単位を細かくしすぎないことも大切です。
主単位が1では横線が増えすぎ、折れ線そのものより罫線が目立つ場合があります。
補助目盛線は必要なときだけ表示し、重要な数値を読むための補助として使いましょう。
【操作のポイント】主単位は、縦軸に表示される目盛りが5から8個程度になる数値を目安にすると整いやすくなります。
途中の目盛りを省略したように見せる補助系列
| 月 | 通常表示用 | 突出値表示用 |
|---|---|---|
| 4月 | 120 | #N/A |
| 5月 | 135 | #N/A |
| 7月 | #N/A | 520 |
続いては、補助列と図形を使い、途中の目盛りが省略されていることを読者へ伝える方法を確認していきます。
表示用データの分割
Excelの標準グラフには、縦軸を途中で折るブレーク機能がありません。
そのため、通常帯の数値と突出した数値を別系列に分けると、グラフの意図を整理しやすくなります。
元データを直接書き換えず、グラフ用の補助列を追加する方法なら、集計表の正確性も保てます。
通常表示用のC列には、160以下の値だけを返す数式を入力します。
=IF(B2<=160,B2,NA())
B列が元の売上データで、1行目がヘッダーの場合にC2へ入力する数式です。
オートフィルで下へコピーすると、160以下の値だけが折れ線グラフに描画されます。
NA関数が返すエラー値は、通常はグラフ上で点として描かれないため、不要な線をつながずに済みます。
【操作のポイント】空白文字ではなくNA関数を返すと、数値0として誤って扱われることを避けやすくなります。
突出値用の系列
突出値だけを別の列に表示する場合は、通常表示用とは反対の条件を設定します。
7月の520だけを目立たせたい場合、D列に160より大きい値だけを返す数式を作成します。
=IF(B2>160,B2,NA())
この数式をD2へ入力し、D2右下のフィルハンドルを下へドラッグすると、各行に同じ判定を適用できます。
通常値と突出値を異なる色の系列にすることで、データの性質が変わった地点を区別できます。
ただし、同じ縦軸で520を表示すると通常値の折れ線は小さくなるため、次の見出しで解説する上下グラフとの併用が実用的です。
【操作のポイント】系列名は「通常売上」「特別案件を含む売上」など、データの意味が分かる名称に変更してください。
省略記号と注記
途中を省略した印象を与えたい場合は、グラフ領域の縦軸付近へ波形の線や斜線を挿入します。
挿入タブの図形からフリーフォームや線を選び、縦軸の中ほどに小さなジグザグを配置します。
図形だけでは実際に目盛りを省略した事実が伝わりにくいため、必ず注記を添えることが重要です。
「縦軸は160から480を省略」のように、非表示の範囲を具体的に書くと読み手が誤解しにくくなります。
省略記号は装飾ではなく、通常とは異なる縮尺や範囲を使っているという警告表示です。
注記例
縦軸の160から480は省略して表示しています。
【操作のポイント】省略記号の色は黒または濃い灰色にし、データ系列の色と混同されないように配置しましょう。
上下に分けたグラフによる縦軸の省略表現
| 月 | 下段グラフ | 上段グラフ |
|---|---|---|
| 4月 | 120 | #N/A |
| 5月 | 135 | #N/A |
| 7月 | #N/A | 520 |
続いては、上下二つの折れ線グラフを重ねるように配置し、値の差を無理なく見せる方法を確認していきます。
上下グラフ用の補助列
上下分割では、下段に通常値、上段に突出値を表示するための補助列を用意します。
下段グラフは100から160、上段グラフは480から550など、表示する値の帯をあらかじめ決めます。
下段用のC2には、通常値だけを返す数式を入力します。
=IF(AND(B2>=100,B2<=160),B2,NA())
上段用のD2には、突出値だけを返す数式を入力します。
=IF(AND(B2>=480,B2<=550),B2,NA())
上下で異なる範囲を使う場合、元データの月順を完全にそろえることが、時系列を正しく比較する条件です。
【操作のポイント】補助列の数式は2行目に入力し、フィルハンドルで最終行までオートフィルしてください。
折れ線グラフの配置
下段用の月と補助列を選択し、挿入タブの「折れ線または面グラフ」から折れ線グラフを作成します。
続いて上段用の月と補助列でも、同じ種類の折れ線グラフを作成します。
作成した二つのグラフは横幅を同じにし、横軸の月ラベルが上下で同じ位置になるように整列します。
上段グラフの横軸ラベルを非表示にし、下段だけに月を表示すると、一つの図表として見やすくなります。
【操作のポイント】グラフの大きさをそろえる際は、図形の書式にあるサイズ指定を使うと微調整しやすくなります。
境界値と省略範囲の表示
下段グラフの最大値が160、上段グラフの最小値が480なら、その間の160から480は表示されません。
二つのグラフの間には、縦軸の省略を示すジグザグ線と説明文を配置します。
上段と下段の縦軸は等しい縮尺ではない場合があるため、目盛りを必ず読める状態にしておく必要があります。
値の差を強調したいからといって、目盛りを消したり、両方が同じ縮尺であるように見せたりするのは避けましょう。
表示例
下段縦軸 100から160
省略範囲 160から480
上段縦軸 480から550
【操作のポイント】グラフの近くへ「縦軸の途中を省略」と明記し、報告書を単独で読んでも意味が通じる状態にしましょう。
第2軸を使う場合の注意点
| 系列 | 値の範囲 | 軸の候補 |
|---|---|---|
| 通常売上 | 100から160 | 主縦軸 |
| 広告費 | 10から30 | 第2縦軸 |
続いては、第2軸が縦軸の省略に見える場合と、使うべき用途について確認していきます。
第2軸が適するデータ
第2軸は、売上と広告費、販売数量と達成率のように、単位や数値の桁が異なる二つの系列を同時に比較するための機能です。
同じ売上データの一部だけを大きく表示するために第2軸を使うと、読者が二つの線を同じ尺度で比較してしまうおそれがあります。
第2軸は縦軸の途中省略を実現する機能ではなく、別尺度の系列を表示する機能です。
目的が異なることを理解し、単位が異なる系列だけに利用するのが基本です。
【操作のポイント】第2軸を使用した系列は、凡例と軸ラベルの色を対応させると読み間違いを減らせます。
系列の書式設定
系列を右クリックし、「データ系列の書式設定」から「第2軸」を選ぶと右側の縦軸が追加されます。
この設定は系列ごとに適用されるため、主軸に戻したいときは同じ画面で「主軸」を選択します。
第2軸を追加すると左右に異なる目盛りが並ぶため、軸タイトルを入れて単位を示すことが大切です。
売上なら円や万円、割合ならパーセントのように、何を表す数値かを視覚的に区別します。
【操作のポイント】左右の軸で同じ単位を使う場合は、第2軸を使う理由を注記できるか検討してください。
比較を誤らせない表現
第2軸を使ったグラフでは、線の高さが同じでも数値が同じとは限りません。
たとえば左軸の100と右軸の20が同じ高さに見えることがあり、軸を読まずに判断すると誤解につながります。
報告資料では、グラフの下に元データの表を置く方法も有効です。
視覚表現を補う数値表があると、縮尺の違いを確認しながら正確に読めます。
【操作のポイント】意思決定に使う資料では、軸の変更後に第三者が数値を正しく読めるか確認しましょう。
折れ線グラフの縦軸を見やすくする設定
| 項目 | 設定例 | 目的 |
|---|---|---|
| 最小値 | 100 | 通常値の差を読む |
| 最大値 | 160 | 表示範囲を限定 |
| 主単位 | 10 | 目盛りを整理 |
続いては、縦軸を省略しなくても推移を伝えやすくなる基本設定を確認していきます。
ゼロ起点の判断
棒グラフではゼロから始めることが原則とされますが、折れ線グラフは変化の傾向を示す目的なら、必ずしもゼロ起点である必要はありません。
ただし最小値を100にした場合、120から135への変化が実際より大きく見える可能性があります。
ゼロを省略する場合は、縦軸の開始値を明確に表示することが欠かせません。
開始値を隠して線の傾きだけを強調すると、増減の印象が実態から離れてしまいます。
【操作のポイント】変化率を伝えたい資料では、値と増減率を併記すると読み手の判断を助けます。
データラベルの活用
突出値や重要な月だけにデータラベルを付けると、縦軸の細かな目盛りを読まなくても値を確認できます。
系列を選択してグラフ右上のプラス記号から「データラベル」をオンにすると、各点の近くに値が表示されます。
すべての点にラベルを表示して混雑する場合は、必要な点だけをクリックして個別に設定する方法が便利です。
520のような例外値にはデータラベルを付け、通常値との差を数値でも示しましょう。
【操作のポイント】ラベルが重なる場合は、「上」「右」など表示位置を変えて線と数値を見分けやすくします。
タイトルと注釈の整理
グラフタイトルには、何の推移で、どの期間を比較しているかを簡潔に書きます。
縦軸の範囲を固定した場合や途中を省略した場合は、タイトルの近くかグラフ下部へ条件を記載します。
「通常月の売上推移、7月の特別案件を除く」のように対象範囲を示すと、グラフの意図が伝わります。
注釈は小さくしすぎず、印刷やPDF化をした後にも読める文字サイズに整えましょう。
注記例
通常月の変化を比較するため、縦軸は100から160の範囲で表示しています。
【操作のポイント】グラフをメール添付や資料へ貼り付ける前に、注釈が切れていないかを確認してください。
まとめ エクセルの折れ線グラフで縦軸を省略する方法
Excelの折れ線グラフでは、縦軸の途中を自動で省略する専用機能は用意されていません。
通常の値の差を見やすくしたいだけなら、縦軸の最小値、最大値、主単位を調整する方法がもっとも手軽です。
突出値を含めながら途中の目盛りを省略したように表現したい場合は、補助列で表示データを分け、上下に二つのグラフを配置する方法が分かりやすい選択肢になります。
補助列では、1行目をヘッダーとしたうえで、IF関数とNA関数を使い、表示したい範囲だけをグラフへ渡すことができます。
第2軸は異なる単位の系列を比較するための機能であり、同じデータの縦軸省略とは目的が異なります。
縦軸の開始値や省略範囲を隠すと、データの印象が実際以上に変わることがあります。
グラフ内の注記、目盛り、データラベル、元データ表を適切に組み合わせ、読み手が縮尺と数値を正確に理解できる表示を心がけましょう。