Excelで複数の系列を折れ線グラフにすると、値が近い線同士が完全に重なり、どちらのデータか判別できなくなることがあります。
特に売上推移、実績と予算、前年対比、温度や数量の時系列データでは、線が見えない、マーカーが隠れる、凡例の順番と表示の前後関係が一致しないといった悩みが起こりがちです。
この記事では、折れ線グラフが重なる場合に、系列の順番、補助列、散布図、マーカー、軸の設定を使って見やすくずらす方法を解説します。
折れ線グラフの重なりは、系列の順番を変えるだけでも改善できます。
値そのものを変更したくない場合は、補助列やマーカーの設定を利用する方法が有効です。
横方向へ正確にずらしたいときは、散布図の活用が適しています。
サンプルデータは1行目を見出しとし、A列に月、B列に実績、C列に予算、D列に前年実績が入力されているものとして進めます。
それでは、重なった線を見分けやすくする具体的な方法を確認していきましょう。
折れ線グラフの系列順を変更する方法
それではまず、系列の表示順を変更して、前面に表示する線を切り替える方法について解説していきます。
| 月 | 実績 | 予算 | 前年実績 |
|---|---|---|---|
| 4月 | 120 | 120 | 118 |
| 5月 | 135 | 132 | 133 |
| 6月 | 128 | 128 | 127 |
折れ線グラフでは、複数の系列が同じ座標に描画されると、後から描画される系列が手前に見えます。
つまり、数値を変えなくても系列の順番を入れ替えるだけで、見えなかった折れ線を前面に表示できます。
データの選択画面
グラフをクリックして選択し、グラフのデザインタブからデータの選択をクリックしましょう。
グラフの上で右クリックし、表示されたメニューからデータの選択を選ぶ方法でも同じ画面を開けます。
データの選択画面の左側には、凡例項目として実績、予算、前年実績などの系列名が並びます。

ここに表示される並び順が、グラフの系列を管理する基本の順番です。
系列の順番を変更しても、元の表の値やセル参照は変わりません。
表示の前後関係だけを調整したい場合に使いやすい設定です。
上矢印と下矢印による並べ替え
前面に表示したい系列をクリックし、一覧の右側にある上向き矢印または下向き矢印をクリックします。
たとえば予算の線が実績の下に隠れている場合は、予算を一覧の下側へ移動してみましょう。
Excelでは、一覧の後ろ側にある系列ほど、グラフ上で前面に描画されるケースがあります。
ただし、グラフの種類やExcelのバージョンにより見え方を確認する必要があります。
順番を一つ変更したらOKを押し、線やマーカーがどのように重なっているかを確認すると確実です。
凡例と描画順の確認
系列順を変更すると、凡例に表示される項目の順番も変化します。
報告書で凡例の並びに意味がある場合は、単純に前面へ出すことだけを目的にせず、読み手が理解しやすい順番も意識しましょう。
たとえば実績、予算、前年実績の順に説明する資料なら、凡例もこの順序にそろえると視線が迷いません。
線を前面へ出す設定と、凡例を読みやすくする設定は、同時に確認することが大切です。
【操作のポイント】系列の順番を変えた後は、グラフ内の線だけでなく凡例の表示順も確認します。
重なりを確認しやすいグラフ書式の設定
続いては、折れ線が重なっても区別しやすくなる線の太さ、色、マーカーの設定を確認していきます。
| 系列 | 推奨色 | 線の種類 | マーカー |
|---|---|---|---|
| 実績 | 青 | 実線 | 丸 |
| 予算 | 橙 | 破線 | 四角 |
| 前年実績 | 灰 | 点線 | 三角 |
値がまったく同じ場合は、縦方向に少しずらすよりも、書式の違いで見分けられるようにするほうが正確です。
元データの意味を保ったまま比較できるため、実績と計画を扱う業務グラフにも向いています。
線の色と太さの変更
グラフ上の対象線をクリックし、右クリックからデータ系列の書式設定を開きます。
塗りつぶしと線の項目で線を選び、色と幅を調整します。
重要な系列は2ポイント前後の太めの実線にし、補助的な系列は1ポイント程度の細い破線にすると、重なっても役割が伝わりやすくなります。
色だけで区別せず、線の太さや破線も組み合わせると、白黒印刷でも判別しやすくなります。
マーカーの種類とサイズ
同じデータ点に複数の線が通る場合は、マーカーを表示する設定が効果的です。
データ系列の書式設定でマーカーを開き、組み込みから丸、四角、ひし形、三角などを選択します。
実績を丸、予算を四角、前年実績を三角のように変えると、交点や一致する月でも系列を追いやすくなります。
サイズは5から8程度を目安にすると、線を隠しすぎず、一覧性も保ちやすいでしょう。
マーカーの枠線を線と同じ色にし、塗りつぶしを白にする設定も便利です。
データラベルと凡例の整理
値をすべて表示するデータラベルは、系列数が多いグラフではかえって読みにくくなることがあります。
そのため、最後のデータ点だけにラベルを付けたり、重要な差がある月だけに表示したりする方法がおすすめです。
系列名を線の終点付近に表示すると、凡例とグラフを何度も見比べる手間を減らせます。
凡例はグラフの右側または下側に配置し、プロットエリアを狭くしすぎないように調整します。
【操作のポイント】線、マーカー、ラベルの三つをすべて強調しすぎず、最も重要な系列だけを目立たせます。
補助列を使った縦方向のずらし方
続いては、元データを保持しながら補助列で表示位置をわずかにずらす方法を確認していきます。
| 月 | 実績 | 予算 | 予算表示用 |
|---|---|---|---|
| 4月 | 120 | 120 | 121 |
| 5月 | 135 | 132 | 133 |
| 6月 | 128 | 128 | 129 |
補助列は、実際の値を修正せず、グラフ描画専用の値を作るための列です。
予算が実績と同じ値になる月だけ線が見えなくなる場合にも、表示用の系列を作ることで判別できます。
予算表示用のD2セルには、次の数式を入力します。
=C2+1
この1は表示上のずれ幅です。
グラフ全体の値の範囲に対して十分に小さい数値へ調整しましょう。
| A | B | C | D | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 月 | 実績 | 予算 | 予算表示用 |
| 2 | 4月 | 120 | 120 | =C2+1 |
| 3 | 5月 | 135 | 132 | =C3+1 |
ずれ幅を決める基準
表示用の数式に加える値は、グラフの縦軸の目盛りを基準に決めます。
縦軸が0から200で、主単位が20なら、1から3程度のずれ幅から試すと過度な誤解を生みにくい設定です。
一方で、値が0から10程度の小さな範囲なら、+1では差が大きすぎるかもしれません。
その場合は、=C2+0.1のように小数を用います。
ずらした値は分析用の実績値ではなく、視認性を高める表示専用の値として扱うことが重要です。
数式の入力とオートフィル
D2セルに=C2+1と入力してEnterキーを押すと、C2の予算値に1を加えた結果が表示されます。
次にD2セル右下の小さな四角へマウスポインターを合わせ、黒い十字になったら下方向へドラッグします。
これがオートフィルであり、D3には=C3+1、D4には=C4+1というように、行番号が自動で変化した数式がコピーされます。
表がテーブル形式であれば、最初の数式を入力した時点で列全体に数式が自動入力される場合もあります。
値の差を表示したい場合は、=C2+0.5のような固定値加算が分かりやすい方法です。
割合でずらしたい場合は、=C2*1.01のように元の値へ1パーセントを加える式も利用できます。
グラフ系列への補助列の追加
グラフを右クリックしてデータの選択を開き、追加をクリックします。
系列名にはD1の予算表示用、系列値にはD2以降の補助列を指定します。
元の予算系列を削除するか、薄い色の補助情報として残すかは、グラフの目的で選びましょう。
表示用の予算線を採用する場合は、凡例名を予算と表示用に分かりやすく調整することも必要です。
ずらしたグラフには、注記で表示位置を調整していることを明記すると、数値の誤読を防げます。
【操作のポイント】補助列の数式は元データの右側に作成し、グラフ用であることが分かる列見出しを付けます。
散布図による横方向のずらし方
続いては、月などの項目を横方向にわずかにずらして表示したい場合の散布図を確認していきます。
| 月番号 | 実績X | 実績Y | 予算X | 予算Y |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | 120 | 1.08 | 120 |
| 2 | 2 | 135 | 2.08 | 132 |
通常の折れ線グラフの横軸はカテゴリ軸であり、4月や5月といった項目を任意の小数位置へ移動できません。
横位置を正確にずらしたい場合は、数値軸を使える散布図を選択します。
月番号の作成
A列に4月、5月、6月と文字が入っている場合は、別の列に1、2、3の月番号を用意します。
実績用のX値には1、2、3を使い、予算用のX値には1.08、2.08、3.08のように小さな値を加えます。
この0.08が横方向のずれ幅です。
Y値はそのままにしてX値だけをずらすため、同じ数値でも左右に分けて表示できます。
散布図と直線の挿入
実績X列と実績Y列、予算X列と予算Y列を使い、挿入タブから散布図を選択します。
散布図の種類では、直線またはマーカー付き直線を選びます。
作成後にデータの選択を開き、各系列のXの値とYの値が正しい列を参照しているかを確認しましょう。
折れ線グラフと見た目は似ていますが、散布図では横軸が数値として扱われる点が大きな違いです。
横軸ラベルの調整
散布図では横軸に1、2、3と表示されるため、そのままでは4月、5月、6月が伝わりません。
横軸の書式設定で最小値、最大値、主単位を調整し、必要に応じてテキストボックスで月名を補います。
月数が少ない場合は、グラフの下に4月、5月、6月の文字を配置する方法もあります。
横方向のずれは便利ですが、カテゴリ名との対応が不明瞭になると読みづらくなります。
【操作のポイント】散布図ではX値とY値を別々に指定するため、元の折れ線グラフよりも参照範囲を丁寧に確認します。
見えない折れ線の原因と対処
続いては、系列が存在するのに折れ線が見えないときの主な原因と対処を確認していきます。
| 確認項目 | 起こりやすい状態 | 対処 |
|---|---|---|
| 系列順 | 別の線の下にある | 順番を変更 |
| 線の設定 | 線なしになっている | 実線へ変更 |
| 参照範囲 | 空白セルを含む | 範囲を修正 |
見えない原因は、単なる重なりとは限りません。
グラフの設定や元データの参照範囲を順に確認することで、不要な作り直しを避けられます。
線なしと透明度の確認
対象の系列をクリックしてデータ系列の書式設定を開き、線の項目を確認します。
線なしが選択されていたり、透明度が100パーセントになっていたりすると、系列はあっても画面上には表示されません。
実線を選択し、見やすい色と幅を設定しましょう。
マーカーだけ表示されている場合は、線の設定が無効になっている可能性があります。
空白セルとエラー値の扱い
グラフの元データに空白セル、空文字列、エラー値が含まれると、線が途中で切れることがあります。
グラフのデザインタブからデータの選択を開き、非表示および空白セルをクリックします。
空白セルの表示方法では、間隔、ゼロ、データ要素を線で結ぶという選択肢があります。
欠損値を本当に示したいなら間隔を選び、入力漏れを視覚上だけ補いたいなら線で結ぶ設定を検討します。
ただし、欠損データを実績のように見せない配慮も必要です。
主軸と第2軸の確認
一部の系列だけが見えない場合、第2軸に設定され、目盛りの差によって極端に小さく表示されていることがあります。
系列を右クリックし、データ系列の書式設定で使用する軸を確認します。
主軸と第2軸を使い分ける場合は、左右の縦軸の目盛りを必ず明示しましょう。
軸が異なる系列は位置だけを比較すると誤解につながるため、軸ラベルの確認が欠かせません。
【操作のポイント】見えない線を見つけたら、系列順、線の書式、参照範囲、軸の順に確認します。
比較しやすい折れ線グラフの設計
続いては、重なりにくく、読み手が比較しやすい折れ線グラフの設計を確認していきます。
| 目的 | 向く表現 | 注意点 |
|---|---|---|
| 実績と予算の比較 | 実線と破線 | 色だけに頼らない |
| 前年比の比較 | 薄い補助線 | 主系列を強調 |
| 値の一致の確認 | マーカー | 過剰なラベルを避ける |
グラフは、すべての情報を同じ強さで表示するものではありません。
何を最初に読んでほしいかを決めることで、重なりがあっても伝わるグラフになります。
主系列と補助系列の役割分担
実績を最も重要な情報として扱うなら、濃い色の実線と大きめのマーカーを使います。
予算や前年実績は比較対象として、薄い色、細い線、破線を使うと役割が明確です。
主系列を一つに絞ることで、系列数が多いグラフでも視線の起点を作れます。
実績は濃い青の実線、予算は橙の破線、前年実績は灰色の点線というように、意味ごとのルールを決めます。
同じ資料内の別グラフでも、このルールをそろえると理解が速くなります。
グラフの分割と小さな複数グラフ
系列が四つ以上あり、線が何度も重なるなら、一つのグラフに集約しない判断も有効です。
実績と予算のグラフ、実績と前年実績のグラフというように二つへ分けると、それぞれの比較が明快になります。
縦軸の最小値と最大値をそろえれば、分割したグラフでも大きさの比較をしやすくなります。
特に社内報告資料では、複雑な一枚よりも、比較の目的が明確な二枚のほうが伝わる場面があります。
注記による表示意図の共有
補助列や散布図で意図的に位置をずらした場合は、グラフの近くに小さな注記を入れます。
たとえば、予算線は視認性のため上方向へ1だけ表示位置を調整、と記載すると、値の改ざんと誤解されません。
グラフの見やすさと数値の正確さを両立させるには、表示上の工夫を開示することが大切です。
【操作のポイント】重なりを減らす目的を先に決め、系列の書式、分割、注記のいずれを使うか選びます。
まとめ エクセルの折れ線グラフをずらす方法(見えない・順番)
Excelの折れ線グラフが重なるときは、まずデータの選択から系列の順番を変更し、前面に表示する線を切り替えます。
値が同じで線が隠れる場合は、色、線種、太さ、マーカーを変えるだけでも見分けやすくなります。
元の数値を変えたくない場合は、補助列を作り、表示専用の系列としてわずかな値を加える方法が便利です。
横方向へ位置をずらしたい場合は、カテゴリ軸の折れ線グラフではなく、X値を指定できる散布図を使いましょう。
線が見えないときは、系列順だけでなく、線なし、透明度、空白セル、参照範囲、第2軸の設定も確認します。
系列順の変更は、前後関係だけを直したい場合に適しています。
マーカーと線種の変更は、数値が一致する場面の比較に役立ちます。
補助列と散布図は、意図的に表示位置をずらしたい場合に活用できます。
読み手にとって重要な系列を明確にし、必要に応じて注記も添えることで、正確で見やすいグラフに仕上げましょう。